いつも意地悪なことばかり言ってきていた婚約者から婚約破棄を告げられました。
いつも意地悪なことばかり言ってきていた婚約者エルヴィムから婚約破棄を告げられた。
彼はもう私のことを愛していないのだそうだ。そしてこの先愛せる日も来ない、と、彼はそう断言した。心ない言葉を告げる時の彼は氷剣のような鋭い目をしていて。私を愛していないという悲しい事実はその目つきを見ればすぐに事実なのだと理解できた。
だから私は別れることを選んだ。
……だって、愛されてもいないのに一応婚約関係だけ続けるなんて、虚しくない?
なので私は婚約破棄を受け入れた。
◆
婚約破棄を告げられた日から五日後の晩、エルヴィムの訃報が届いた。
エルヴィムはその日旧友らと肝試しで山に出掛けていたそうなのだが、その最中エルヴィムだけはぐれてしまい、どうしようもなく困っていたところを山賊に襲撃されたらしく――金になりそうなものをすべて剥ぎ取られたうえ殴る蹴るの暴行を加えられ谷に捨てられたそうだ。
で、数時間後、死亡が確認されたのだとか。
驚くくらい呆気ない最期だった。
◆
「イリーナ、今日は僕が食事の用意するよ!」
「いいの?」
「もっちろん! たまには僕の料理を腕を見てほしいからね」
あれから三年半。
私には新しい居場所ができた。
そこはとても温かな場所。
愛する人との家庭である。
「作ってみたよ! イリーナの口に合うかは分からないけど……取り敢えず一回食べてみて? 口の合うといいなぁ」
「ありがとう、いただくわね」
「うんうん。自由に食べてね。これでも力作なんだ。見た感じは凄い地味だけどね」
料理を口へ運ぶ。
「……お、美味しい!」
「本当!?」
「ええ! これはとても美味しいわ! 好き!」
「はああ~っ……好みに合って良かったぁ~……!」
この幸せを私は絶対に手放さない。
◆終わり◆




