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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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たとえ婚約破棄されても、いつの日かは幸せを掴めるのです。~とはいえさすがにここまで奇跡が連発するとは思いませんでしたよ!?~

 前々から感じの悪かった婚約者ミドレイブルより婚約破棄を告げられた日の晩、私は夢の中で女神と名乗る女性と出会った。


 そしてそこで言われたのだ。


『貴方にはきっと、これから、たくさんの幸福があるでしょう』


 ――そんなことを。


 でも信じてはいなかった。

 自分にとって都合のいい夢をみただけなのだと思っていた。


 だってそういうものだろう?


 夢には嘘も逆もない。

 形のないもの、所詮自分の脳が作り出しただけの幻想ではないか。


 嫌なことがあったからそんな夢をみたのだろう、としか思っていなかった。


 でも――。


「聞いてくれ! 父さんが拾った宝くじ!」


 ある朝、自室でのんびりぼんやりしていたら、父が駆け込んできた。


「どうしたの青い顔して」

「あれがあたりだったんだ!!」

「え」

「しかも! 一等! 一等だぞ!」

「えええ……」


 まさかの展開に戸惑う。

 あの宝くじの一等といったらかなりの額だ。


「嘘、でしょ」

「いいや嘘じゃない! 本当なんだ! 信じられないようなことではあるし信じてもらえないのも理解できるんだが、事実なんだよ!」


 こうして私たち一家は大金持ちになった。


 さらにそれからも良い意味での奇跡が起こり続けた。


 そしてしまいには王子より求婚されてしまう。


 嘘みたい? 作り話、妄想? いや、本当に、そうだと思う。そう思われて当然だと思う、こんな私にとって都合がいいばかりの話は。でもこれは嘘ではないのだ。宝くじも、それ以外の嬉しかったことも、王子からの求婚も、すべて紛れもない事実であり現実なのである。だから嘘ではない。それは胸を張って言える。嘘でないと神に誓えるか? もし誰かからそう問われても、誓える、と堂々と答えられる。


 こうして私は幸せになったのだが、それとは対照的にミドレイブルは残念な最期を迎えたようだ。


 彼はあの後多数の災難に見舞われたそう。


 その災難の数といえば凄まじいものだったようで。

 死の直前、彼は、心身共にボロボロになっていたそうである。


 で、やがて彼はこの世を去った。


 秋のはじめに風邪を引いて、それをこじらせてしまい、あっという間に死に至ったのだそうだ。


 ミドレイブルはあまり風邪を引かない人だった。私も彼が風邪を引いたという話は聞いたことがない。身体が強い方の人間だったのだ、彼は。でももしかしたらだからこそだったもかもとも思うこともある。彼の肉体は風邪というものに慣れていなかったのかもしれない。



◆終わり◆

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