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ありふれた感情
詩のような作品です。
あの頃は確かに
あなたのことが好きだった
初めて出会ったあの茶会で
体調を崩していたときに
そっと声をかけてくれたあなたの優しさが
あまりにも救いだったから
いつの間にかあなたに惚れていたの
それは
なんてことのない
ありふれた感情
好きと言ってしまえば
極めてシンプルだから
馬鹿みたいだと笑う人もきっといるでしょう
けれどもわたしは
あなたに惹かれて
あなたの優しさに惹かれて
どうしようもなく好きだったから
笑われるくらい構わないと
笑われるくらい平気なのだと
いつもそう思っていた
あの頃は確かに
あなたのことが好きだった
単純すぎるわたしは
あなたのほんの少しの思いやりに触れて
とろけるような心地で
その刹那を繰り返しては
夢をみるように
夢に溺れるように
あなたに想いを馳せる
それは
なんてことのない
ありふれた感情
あなたとはもう会えないけれど
それでもまた愛していることは事実
それは
なんてことのない
ありふれた感情




