妹に婚約者を奪われたのですが、結果的にはそうなってラッキーでした。~おかげでもっと良い人と巡り会えました~
妹ミナが婚約者ロゼンツを奪った。
「おねーさまぁ! わたくし、ロゼンツ様と婚約することにしましたのぉ!」
彼女からそう言われたのがすべての始まりだった。
「え……」
「あのねぇ? おねーさま、ロゼンツ様ねぇ、おねーさまのことに飽きてきてたんですってぇ」
「何を言っているの? 一体何をそんな急に。しかも勝手に……彼は私の婚約者なのよ?」
「あっはっははぁ! 知りませんのぉ? ロゼンツ様はもうおねーさまとの婚約は破棄すると仰っていますわぁ!」
ミナは私を馬鹿にしたように笑った。
あまりにも酷い……。
どうしてそんなことを……。
そして数日後ロゼンツより婚約破棄を告げられたのだった。
「おねーさまはぁ、だっさぁーいおっさんと結婚すればお似合いですわ!」
その後、言っていた通り、二人は婚約した。
――だがその幸せもそう長くは続かない。
ロゼンツは婚約期間中に職場の後輩と浮気。
それによって大ショックを受けたミナは精神崩壊して路上で暴れ、逮捕された。
そうして二人はあっという間に離れることとなってしまったのだった。
……きっとそれは天罰なのだろう。
人を傷つけて掴んだ関係が良いものであり続けるわけがない。
最後は壊れる。
最後は滅ぶ。
二人の行く先に幸福な日常などなかった。
ちなみに私はというと、あの後気を遣って親が紹介してくれた人と結婚しとても大切にされている。
彼は善良な人だ。
性格が良く、加えて、顔良し職業よし経済面よしときている――こんな素晴らしい人は滅多に出会えない気がする。
◆終わり◆




