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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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そこそこ良い家柄の男性に婚約破棄されてしまったのですが、その後私は……!

 そこそこ良い家柄の男性オッフィーリオと婚約していた私は幸せに生きてゆけるものと迷いなく信じていたのだが。


「君との婚約だけど、破棄とさせてもらうよ」


 ある日突然そんなことを告げられてしまった。


「どうしてですか?」

「理由? 理由なんて聞きたいものかい? でもまぁいいよ。聞きたいのなら……教えてあげようじゃないか」


 オッフィーリオはそれまではそこそこ優しい人だったのに。


「まず可愛くない。顔は悪くはないけど……ま、ちょっと真面目過ぎるって感じかな。そこがまず大幅減点。あと、理由はまだまだあって――」


 その日は優しさなんて欠片ほどもなかった。


 オッフィーリオは話し続けた。私の悪いところ、婚約破棄の理由となったあれこれを。そしてその話というのが異様に長くて。三時間以上、彼は私を否定するような言葉ばかり並べた。私の心の状態なんて一切気にしていないようだった。しかもその話にはところどころ嘘も含まれている。事実であれば辛くとも受け止めるが、そうではなかったのだ。事実でないことも多く混ざっているから、聞いていてなおさら苦しかった。


 こうして私たちの関係は終わりを迎えることとなったのだった。



 ◆



 あれから一週間。

 驚いたことにオッフィーリオは死亡することとなった。


 もちろん私は無関係だ。


 当たり前だろう……。

 婚約破棄されたからといって殺めるなんて、そんなこと、するはずがないではないか……。


 だが彼がこの世から去ったことは変わることのない事実である。


 聞いた話によれば。彼は祖母と山菜採りに出掛けていたところ魔物に襲われてしまったそう。祖母を放置して一人走って逃げようとしたが転倒してしまい足を痛め、結果、のそのそと移動していた祖母は助かり派手に動いていた彼の方が魔物の餌となることとなってしまったようだ。


 祖母を置いて逃げようとした、なんて、恥ずかしい……。


 実に残念な話である。


 ――ちなみに私はというと、あれからの一週間で大金持ちになった。


 おかしな話だと思うだろうか?

 どうかしていると思われるだろうか?


 だがこれもまた事実なのである。


 私はあの婚約破棄の日に川を流れていたかなり大きいニンニクを拾ったのだが、実はその中に金塊が詰まっており、それによって大金持ちになることに成功したのである。


 笑い話みたいな話だが、事実だ。


 だからもうオッフィーリオのことはどうでもいい。

 理不尽に傷つけてくるような人に縋りつくつもりはない。



◆終わり◆

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