婚約破棄で終わった二人です。~お互い、それぞれの道を歩んでゆきましょう~
貴方と一緒にいるといつも疲れるの。
どうしてかは分からない。
でも同じ時間を過ごすことは楽しさなんて少しもなかったのよ、それがいつからだったかは定かでないけれど。
だからね、貴方がさよならを告げてくれて良かった。
婚約破棄する、って。
そちらから言ってくれたのはある意味幸運だった、って、少し時が経ったらそう思えるわ。
あの時は悲しかった。
あの時は辛かった。
驚きもしたし、心に何かが突き刺さったみたいで、その傷を癒すことにやたらと時間を使ってしまって――貴方がいない日々に馴染むまではしっくりこない感じもあって。
けれど気づけばすっきりしていたわ。
貴方は私のこと「好きじゃなかった」って言っていたけれど、もしかしたら私もそうだったのかもしれない。
だとしたらお互いさまみたいなものね?
くだらない笑い話だわ。
愛し合っているふりをして愛し合っていなかっただなんて。
そんな二人が結ばれる未来なんてなくて良かった。
貴方もそう思っているのでしょう?
今こそ本当の意味で通じ合った時なのかもしれないわね。
だから、さよなら。
遅くなってしまったけれど。
今の私はもう何も恐れないわ。
お互い、それぞれの道を歩んでゆきましょう。
きっとそれが幸せへの一歩。
……そう信じているから。
◆終わり◆




