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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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獣の匂いがする婚約者が婚約破棄を告げてきました。~私は貴方とさよなら、貴方はこの世に……~

 婚約者エヴェロスは獣の匂いがする。


 なぜだろう。

 よく分からない。


 けれど彼は臭い。


 とにかく匂うのだ――まるで獣の肉が放置されて腐ったかのような。


 そんな彼がある日突然告げてくる。


「お前との婚約だけどな、破棄することにした」


 あまりにも急なことで。


「え……」

「はは、驚いたみたいだな」

「また急ですね」

「君は媚びが足りない」


 けれども悲しみはない。


 だってべつにそれでもいいのだ。

 むしろ嬉しいくらい。


 この臭さ、不快な匂いから、もうすぐ解放されるということなのだから。


「分かりました」

「覚悟できたか?」

「構いません」

「受け入れる、ということだな?」

「はい」


 こうして私とエヴェロスの婚約は破棄となった。


 あまりにも唐突な終わり。

 けれども絶望はしない。


 むしろそこにあるのは歓喜。


 彼からの解放。

 それは偉大な奇跡。


 私は自由だ――!



 ◆



 あれから二年。


 私は日々幸せに暮らしている。


 もうすぐ結婚する予定の人はいるがその人は臭くないし一緒にいて楽しいと感じられるような男性。


 だから未来への希望を抱けている。


 もう迷いはない。

 運命から逃れたいと思うことだってない。


 私は私で道を選び生きてゆく。


 誰かのためとか。

 定めに従ってとか。


 そういう生き方ではない生き方を私は選ぶ。


 ちなみにエヴェロスはというと、あの後早朝の山道で熊に襲われて餌となってしまいそのまま死亡してしまったそうだ。


 熊とは何とも恐ろしい獣である……。


 出会ってしまえばおしまい。


 殺されるか。

 負傷するか。


 いずれにせよ無事で逃げきることは難しいのだろう。


 きっと……。


 ああ、怖い怖い。



◆終わり◆

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