貴方みたいな人とはさよならします!
私の婚約者は心ない人だった。
顔を合わせるたびに「今日も可愛くないね、君は」とか「もっと魅力的な女性と結婚したかったなぁ」とか言ってくるし、私への誕生日プレゼントはゴミばかりなのに女友達には高級なものを贈っているし、たびたび知り合いに私について嘘の悪口を吹き込む。
でも、それでも、耐えていた。
婚約したから。
仕方がないから。
そう思って。
だが、ある夏の日、私は知ってしまった。
女友達のうちの一人と彼が深い男女の仲であるということに。
これはチャンスだ。
彼から逃れるための唯一の機会。
だから私はそれを理由として彼との婚約を破棄することに決めた。
「婚約は破棄とします」
「な……ど、どうして」
「貴方が他の女性と深く関わり合いになっていることはもう明らかになっています。そのような方と共に生きてゆくことはできません」
「お、思い込みだ! 勘違いだ! 君は間違っている!」
「証拠ならあるのですよ?」
「何だと!? 証拠!? な、なら! 出してみろ!」
「ではこちらを。貴方たちがそういうところへ入っていく光景を収めた写真です」
「捏造だ!」
「……写真を捏造するなんて、できますか?」
私は迷わないし負けない。
「ぐ……」
「捏造だと証明できますか?」
彼とはもうさよなら。
「お、お……お、おのれえええええ!!」
もう、何を言っても無駄よ。
……こうして婚約は破棄となった。
◆
彼はあの後笑い者になった。
そしてそれにより体調を崩した彼はやがて精神崩壊しそのまま弱って死んでいった。
一方私はというと、新しい出会いに恵まれて。
私のことをとても大切にしてくれるその人と結婚を見据えて関わっているところだ。
◆終わり◆




