あなたの身勝手な婚約破棄のせいでね
詩のような作品です。
すみれの花が咲いていたあの丘に
昨日久しぶりに行ってみたの
もう十年以上その地に足を踏み入れることはなかった
なぜって?
あなたのことを思い出すからよ
辛いのよ
あなたとの日々を思い出すことは
きっかけなんてすべて消えてほしい
きっかけなんてすべて消え去ってほしい
だからわたしは
あの丘へ行くことさえできなくなってしまっていたの
あなたの身勝手な婚約破棄のせいでね
すみれの花が咲いていたあの丘は
今も変わらずそこにあって
とても綺麗だった
無数の花が咲き乱れる天国のような場所
もっとも
わたしにとっては地獄の記憶でしかないのだけれど……
悲しいのよ
あなたといられた日々を思い返すと
引き金は要らないわ
引き金は無であってほしい
だからわたしは
あなたを思い出すものには触れられなっているの
あなたの身勝手な婚約破棄のせいでね
それでももうじき
新たな一歩を踏み出すでしょう
そんな気がしていて
そんな気配があるから
春の陽を求めて這い出す虫たちのように
わたしもまた
新しい日射しを求めて歩み出す
少しずつでも
一歩ずつでも




