幼馴染みと婚約したのですが……? 〜私は私、それは変わらないことです〜
「俺たちずっと一緒にいような」
「ええそうね」
幼馴染みであった私リーシアと彼ウェドガスは婚約したその日には共に明るい未来へと目を向けていた。
「ウェドガス、これからもずっと……よろしく」
「こちらこそよろしく。リーシアとなら楽しく暮らせそうだわ。これからも仲良くしてくれよ」
幼い頃から互いを知っている私たちなら間違いなく明るい未来を掴める、と、そう思っていた。
この絆を壊せる人や物は存在しないと迷いなく信じていたのだ。
――だが。
「ごめんリーシア、婚約破棄するわ」
それから数ヶ月が経って、ウェドガスが急にそんなことを言ってきて。
「え……?」
「婚約、破棄することにしたんだ」
「どうして!?」
やがて明かされたのは。
「実は……他の女との間に子ができてさ」
衝撃的な事実。
この身を絶望へ突き落とすような現実。
「だから、リーシア、お前との関係は解消する」
「そんな……」
「ごめん。……じゃ、そういうことで、バイバイな」
ウェドガスはそんな風にして私の気持ちなど少しも考えずに去っていった――がその後数日経って急に死亡した。
何でも、子を宿した女の元婚約者がウェドガスに対して激怒していたそうで、その男がウェドガスを殺したのではと言われているそうだ。
……ま、自業自得ね。
もはや彼などどうでもいい。
私はただ進む。
いつの日か希望の光を掴み取るために。
そうよ、生きていればきっと良いことだってたくさんあるわ。
それを信じる。
それを信じて歩む。
あんなくだらない人のために腐る必要なんてない。
――そう、何があろうとも、いつまでもどこまでも私は私なのだから。
◆終わり◆




