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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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とあるお茶会で知り合い仲良くなった私たちは婚約することになったのですが、その後彼の裏切りが発覚しまして!?

「おはよう! ミレニーさん」

「あ……おはようございます」


 彼、ローベリオに出会ったのは、とあるお茶会。彼が明るく声をかけてくれたのがすべての始まりだった。彼は爽やかに声をかけてくれ、さらに、私の隣の席へと腰を下ろしたのだ。


「前もいらしてましたよね?」

「はい」

「僕ローベリオっていいます! 良かったら仲良くしてくれたら嬉しいな」

「こちらこそ。仲良くしてください」


 彼はコミュニケーション能力が高く、私の心にもさもそれが当たり前であるかのように踏み込んできて。


「よろしく!」

「よろしくお願いします」


 それが私たちの始まり。


 そしてそこから、私たちは仲良くなった。

 最初はお茶会で会って話すだけだったのが、段々深さのある関係となってゆき、やがて二人でお茶をすることも増えて。

 ただ、いかがわしいことは一切なかった。

 だからだろうか、やや奥手気味な私でも彼といる時は楽しいと感じられた。


 ――そしてやがて。


「ミレニーさん、好きです」


 その時がやって来る。


「結婚してください」


 こうして私たちは婚約者同士となった。



 ◆



 ローベリオは裏切った。

 秘密で多額の借金をして、しかもその返済者の名前欄に私の名を勝手に書いていた。


「ローベリオ……どうして、こんなことを……」

「君なら何だかんだで肩代わりしてくれるだろうと思ったんだよ」

「どういうこと!?」

「君は優しいから、さ。信じてるよ。僕のために返済してくれるって」


 許せない。

 絶対に。

 何があっても許せるわけがない。


「これはもうどうしようもないわ! 救いなんてないし許せるはずもない……婚約は破棄よ!」


 悲しいことだけれど、嘘つきとは共には歩めない。


 当たり前だろう。

 信用できない人と生きてゆくことなどできはしないのだ。


 その後金貸しと話をつけ、事情も根気強く説明して、何とか返済者名から私の名を抜いてもらうことに成功した。


 そしてその欄には正しい名、ローベリオ、を。



 ◆



 時は流れ、四季がいくつも過ぎていった。


 私は幸運なことに良き夫を得られた。

 貯蓄が得意で驚くべき資産を持っている堅実な男性だ。


 ローベリオは今、まだ、あの借金の返済のために生きているらしい。


 だが道のりは険しい。

 他人が返すことを前提としていたためかなりの額を借りていたようで、そのため、借金返済にはかなり苦労しているようである。

 恐らく老人になるまでかかるだろう、という噂だ。


 ……だが、まぁ、完全な自業自得である。


 ローベリオはこれからもずっと己の罪を見つめながら生きてゆくべきだ。



◆終わり◆

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