「お前、魔法使いなんだってな」冷ややかに言われ、婚約破棄されました。
「お前、魔法使いなんだってな」
その日、婚約者である彼リフィシオは、冷ややかな目を向けてきた。
「そんな女と結婚するとか無理だわ。てことで、婚約は破棄な」
しかもそんなことまで言われてしまって。
「魔法使い――いや、魔女、だろ? そんな女と生きていくとか周りから何言われるか分かんねぇ。やだよそんなの。こそこそ生きてくの」
リフィシオはそう言って、ばっさり私を切り落とした。
私にも心はある。急に婚約破棄なんてされたら悲しいし傷つく。それも魔法使いだからなんて理由ならなおさら。
けれども彼はそんなことは少しも考えていないようだった。
そもそも彼は私を人と思っていない。
魔法使いという名の怪物か何かかと勘違いしているのではないか。
◆
数年後。
私は隣国の王子に見初められ、王子の妻となった。
今は城で皆から愛され穏やかに暮らしている。
生まれ育った国から出るのはある意味賭けだった、けれど、私はその賭けに勝った。
ちなみにリフィシオはというと、あの後国が戦火に包まれたために急遽徴兵され戦場で使い捨ての駒にされてあっさり散ることとなったようだ。
◆終わり◆




