婚約破棄され泣いていたのですが、意外な出会いから意外な人生が始まりました!?
「お前なんてな、べつに、可愛くも何ともねーんだよ! 婚約は破棄だ!」
婚約者からそんなことを言い放たれ関係解消宣言をされてしまった私は――その日の晩、すっかり落ち込んで、街のすみのベンチに座って泣いていたのだが。
「ハァイ! キミィ? 何してるんダァイ?」
謎のウサギのきぐるみに声をかけられるというまさかの展開で。
「え……と、あなた、は?」
「ボクゥはウッサー! 世界にハピネスを振りまくウサギの男の子だッヨォ」
「それで、そのウッサーさんが、私なんかに何の用なのでしょうか」
するとウッサーは右手の親指だけを立てて腕をこちらへ突き出してくる。
「ハピネスを贈るヨ!!」
――刹那、私は虹色の空間へ転移した。
街のすみっこにあるベンチに座っていたはずなのに……何が起きた? これは? もしかして、魔法、とか? もしかして、異なる世界へ誘うのがウッサーの能力なのだろうか。
「ここはハピネスワールド! 誰もが夢と希望を抱いて生きられる場所! オーケィ?」
やがて始まったのは野菜兵士による行進と野菜なレディたちによる色鮮やかなパレード。
「「「ぼっ、ぼっ、ボクたちはっ、やっ、やっ、やさいへいしっ、ぼっ、ぼぼっ、ボクたちはっ、そっ、うっ、やさいへいしっ」」」
「「「あったしたっち、あったしたっち、やーさい〜〜、やさ〜い〜〜、あったしたっち、あったしたっち、やーさい〜よ、やさ〜い〜〜」」」
言葉を失いながら眺める。
「ウッサーと……ハピネスワールドぉッ!!」
なぜかかっこつけて決め台詞を放つウッサーだが恐ろしいくらいかっこよくない。
「「「ぼっ、ぼっ、ぼっ、ボクたちっ、はっ、やっ、やっ、やさいへいしっ、ヘイ! ぼっ、ぼぼっ、ボクたちはっ、そっ、うっ、やさいへいしっ、ペイ! ハピネスっ、をっ、きずくためっにっ、きょうもっ、きょうもきょうもきょうもっ、ヘイ! たっ、たっ、かっ、う〜〜っ、ペイ!」」」
こうして謎の世界へ送られた私は。
「「「あったしあったし、あったしたっち、あったしたっち、やーさい〜〜、やさ〜い〜〜、ヘイ! あったしたっち、あったしたっち、やーさい〜よ、やさ〜い〜〜! あ〜あ〜〜あたしたちは〜〜やさい〜なのよ〜〜ペイ!」」」
ウッサーとその世界で暮らしていくこととなってしまったのだった。
ちなみに元婚約者の彼はウッサーによってジゴクゥワールドに送られ、毎日内臓を出し入れされながら生きることとなってしまったそうだ。
◆
ここはハピネスワールド。
誰もが夢と希望を抱いて生きられる場所。
◆終わり◆




