婚約破棄を告げた彼は雷に打たれこの世を去りました。
「君との婚約は破棄とする!」
婚約者ローンドンがそんなことを宣言してきた、が、その直後。
「ぎゃあああああああ!!」
彼は雷に打たれた。
なんてことのない日。快晴ではないものの曇ってはいないし雨が降りそうでもない、そんな普通の日だというのに。突如雷鳴が轟き、光は私の目の前にいた彼を貫いた。
彼はこんがり焼かれてしまった。
どうしよう、と思ったが、私はそのまま立ち去ることにした。
なぜって、彼はもう生き返りそうになかったから。
本来なら倒れていたとしても何かしらの処置をするべきなのだろうが、これはもう無理だ、と本能的に感じた。
だからこそ私は彼を放置したのだ。
◆
あれから数年、私は、良き人と巡り会えて結婚した。
今はとても幸せ。
だからローンドンのことなんてもうどうでもいい。
当たり前だろう。私が最優先とするのは私の人生だ。もちろん他の人がどうなってもいいとは言わないけれど、でも、他者の人生のために我が人生を犠牲にするつもりはない。相手が私を大切にしてくれない人ならなおさらである。
一方的に切り捨ててくるような心ない元婚約者が残念な目に遭った? 死んでしまった? 生きられなかった? ……そんなこと、私からしてみればどうでもいいことなのだ。
◆終わり◆




