「ずっと好きだよ」彼の言葉を信じていたのですが……。
「ずっと好きだよ」
婚約者となった彼ミレルの口癖はそんなもので。
だから私は彼を信じていた。
彼なら裏切るようなことはしない、と。
――でもそれは間違いだった。
「ミレルぅ、今日もかっこいいわぁ」
「へへ、ありがとう」
ある夏の日、ミレルは私を裏切った。
彼は私との約束を急にとりやめて。
そして他の女性と遊びに出掛けていたのだ。
たまたまそこを目撃してしまったのは、幸運なのか否か……。
「婚約者さんとのお出掛けキャンセルしたんでしょぉ? 良かったのぉ? そんなことしてぇ」
「いいんだよそのくらい」
「で~もぉ~……ほんとに大丈夫ぅ?」
「しつこいなぁ」
「だってぇ、心配なのよぉ」
「へへ、ありがとう。でも、本当に、心配しないでいいよ」
いちゃつく二人を見ていられなくて――私は衝動的に駆け出し、二人の前へ出た。
「こんなところで一体何をしているの!? ミレル! 貴方、嘘をついて、裏切ったのね!?」
「……なっ」
「許さないわ、絶対に……ヘルポスヘルプスエトネリクスノシアッ!!」
私は叫んだ。
相手を地獄へ堕とす呪文を。
――それによってミレルは急死した。
「貴方も最低ね、婚約者がいると知りながらその男に近寄るなんて」
「な、何なの!? 貴女!! 魔女!? ミレルを殺すなんて、どう見ても魔女よっ……!!」
ミレルの浮気相手の女性は青ざめている。
「だったら何?」
「へ……?」
「言うべきことがあるのではないの」
「なっ……何なのよいきなりっ……」
しかしなかなか謝らないので。
「ヘルポスヘルプスエトネリクスノシア!!」
彼女もこの世から消滅させた。
――そうよ、裏切り者は要らないの。
純粋に信じていた私を裏切った、そんな人、許せるわけがないし生きていて許されるわけもないのだ。
◆終わり◆




