突然婚約破棄されましたが、動じませんよ。~さようなら愚かな婚約者~
「悪いね、ナリニーシア。君とはもうこれ以上関わらないよ。よって、婚約は破棄とする! ……オーケイ? そういうことだから。役立たず女は僕には必要ないんだ」
婚約者ロージーニアがそんなことを言ってきたのはある春の日であった。
「いきなり何を?」
「婚約破棄する、って言ってるんだよ」
「……本気?」
「もってぃろぅおおぉぉぉん!!」
ふざけた顔で返してきたロージーニアを見ていたら彼のことが大嫌いになって。
「分かったわ。じゃあ、さようなら」
私は婚約破棄を受け入れることにした。
こんな彼とはもう一緒にいたくない。
ただ素直にそう思ったから。
こうして、私たち二人は別れることとなったのだが……。
「ロージーニアくん、亡くなったそうよ」
「え!! うそ!? そうなの!?」
翌日母から衝撃的な報告を受けて、目玉が飛び出すかと思った。
焦った……。
もうとにかく焦った……。
あんな偉そうなことを言って私を切り捨てた彼は、その日の晩に急死したのだった。
何が起きたんだ……。
意味が分からない……。
とはいえ、私にはもう何の関係もないことだ。
だからどうでもいい。
◆
あれから数年。
また春が来た。
「おはようナリー」
「今日もいい笑顔ね、タトツ」
私は今、夫である男性タトツと、幸せに暮らしている。
◆終わり◆




