警察トップの娘ですが、婚約者に浮気されたのでそれを父に伝えたところ大変なことに!? ……ですが自業自得です。
「愛してるよ、ナーシァ」
「ありがとうございますブルルさん」
警察トップの娘である私ナーシァとそこそこ金持ちな家の子息であるブルルは婚約していた。
「今度の週末どこ行く?」
「お出掛けできそうな感じなのですか?」
「うん!」
「そうですか」
「ナーシァ、行きたいところある?」
「そう、ですね……」
私たちは仲良しだった。
いや、本当はどうだったのか、は知らないけれど。
ただ確かに私たちは仲よさげに振る舞い合っていた。
……だが、そんなある日。
「やっぱりナターシャは可愛いな」
「ええ〜!? ほんとぉ!? 嬉っすぃ〜わぁ〜!! やったぁ、褒められたぁ〜」
私は道端で見てしまった。
ブルルが見知らぬ女といちゃつきながら歩いているところを。
「ずっと愛してるよ」
「んもぉブルルったらぁ!!」
「ナターシャも好きでいてくれているかい」
「もっちろぉ〜ん! 好きよ、本当に。どこまでも。愛してる。愛おしすぎ。好きぃ!」
しかもそんな二人は隣り合いながらいかがわしい建物へと入ってゆく。
愕然としながらも、私はその場面を記録の魔法を使って撮影した。
……さて、これからどうしようか。
もうブルルは愛さない。
もうブルルを想いはしない。
でも、ただ切り捨てるだけでは面白くないだろう。
◆
「父さん、聞いて」
「どうした? ナーシァ」
私は彼を守らないことにした。
「ブルルが浮気していたの、他の女といかがわしいところへ……」
「はぁ!!?」
「この写真を見て」
「……ぁ、こ、これは」
「これがすべてよ」
「な……何だこれはぁぁああああぁぁぁぁぁ!! 許せん!! こんなにも魅力溢れるナーシァと婚約しておいて別の女と……許さなぁぁぁぁぁん!!」
こうして激怒した父は権力を利用してブルルの親の事業を終焉へと追い込んだ。
その後裏の力を使いブルルを拘束。
無機質な地下室にて拷問に近いような行為、そして真実を聞き出すと、婚約の破棄を宣言した。
「我が娘を悲しませるとは! 万死に値する! それは絶対に許されることでない! 貴様にはこれから地獄に落ちてもらうぞッ!!」
ブルルは徹底的に痛めつけられ、そのまま亡くなった。
◆
ブルルとの関係が壊れた時は悲しかったし残念にも思ったけれど、それは不幸の始まりではなく、むしろ幸福な未来への始まりであった。
あれから三年、私は、父からの紹介で知り合った青年と結婚して幸せに暮らしている。
◆終わり◆




