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「お前ってさ、なんかパッとしねぇよな」から始まり婚約破棄されました!? ~今さら謝ってきてももう遅いのですよ~

「お前ってさ、なんかパッとしねぇよな」


 学生時代からの知り合いで婚約者でもある彼ウェルティがある日突然そんなことを言ってきた。


「何? 急に。酷くない?」

「酷くはないだろ、ただ真実を言っただけで」


 ウェルティは心ない言葉を投げつけてもなおそれが当たり前だというような顔をしている。


「貴方には心がないの?」

「いやだからべつに心とか関係ねえだろ」

「相手が傷つく可能性とかは考えないのかしら」

「本当のこと言って何が悪いんだよ」


 それから少し間があって。


「ま、もういいわ。うざいし。お前との婚約、破棄するわ」


 彼は急にそんなことを言った。

 多分感情のままに言ったのだと思う。


「……本気?」

「当たり前だろ」

「重大なことよ、それって。それをそんな軽く言うのね」

「好きにさせてくれ」

「そう……もう何を言っても無駄みたいね」

「だってもう冷めたから」

「分かった。じゃあいいわ。そうしましょう」


 こうして私たちの婚約は破棄となった。


 ――が、その後ウェルティは両親に怒られしばかれたようで、後日両親同伴で謝りに来た。


 謝罪は受け入れた。

 彼の両親の思いだけは受け入れたいと思っていたのだ。


 ただし「もう一度婚約してほしい」という申し出だけはきっぱりと断った。


 受け入れられるはずがないだろう、そんな希望。


 その日をもって関係は完全に終了。


 私は彼とは縁を切る道を選んだ。

 後から何を言われても一生許せないと感じていたから。


「あー、すっきりした」


 一人呟いた言葉は宙に消える。


 でもそれでいい。

 ここからまた新しい物語を始めてゆくつもりだから。



 ◆



 あれから数年が経った。


 時の経過というのは本当に早い。

 もういくつ季節が過ぎ去ったのだろう――思い出せないほどに、時間を駆け抜けてきた。


 そんな私はちょうど一年前に結婚した。


 夫となったその人との出会いはとある喫茶店であった。

 注文した品が交差してテーブルに届いてしまいその際に会話したことからこの関係は始まって。


 そこからみるみる仲良くなり、今に至っている。


 ちなみにウェルティはというと。


 あの後別の女性と結婚するも高圧的なその女性に支配されてしまい、今は奴隷のようにこき使われる日々だそう。


 彼は人生に絶望しているらしい。

 死を望む夜も多いとか。


 恐らく、彼にはもう、明るい未来はないだろう。



◆終わり◆

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