さらりと婚約破棄されまして。〜彼には明るい未来はなかったようです〜
「エリーゼ、君とはもうこれ以上付き合ってはゆけない……よって! 婚約は破棄とする! 君との関係はここまでだ。……なぜ? 聞きたそうな顔だな、なら教えてやろう。君は無能で華もない! だからもう終わりとするのだ!」
私エリーゼは婚約者である彼ミードウーからそんなことを告げられてしまった。
それはあまりにも突然の出来事で。
さすがに即座には言葉を返すことはできなかった。
こうして私は婚約破棄されてしまった、のだけど……。
「エリーゼさま! 実はずっと好きでした、僕と付き合ってください!」
「え……?」
「以前お見かけして惚れてからずっと気になっておりまして、やがてそれは深まり、ついに愛してしまったのです!」
婚約破棄された次の日、私は第二王子ローリングドから愛を告白されて。
そうして私の人生はまた動き始める。
……一方私を捨てたミードウーはというと、あの後間もなく散歩中に転倒して後頭部を打ってしまい数時間後に亡くなったそうだ。
恐らく私を捨てて次へ行こうとしたのだろうが、ミードウーには他の女性と出会ったり幸せを掴んだりといった未来はなかったようだ。
◆終わり◆




