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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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浮気される程度は想定内でしたが、その相手はさすがに想定外で……!? すみませんが意味不明です、取り敢えず言い広めますね。

 ある日、森の中で、婚約者ミーゼルが雌熊と浮気しているところを目撃してしまった。


 最初は勘違いかと思った。

 でも両者は明らかにいちゃついていたので人間と熊という関係ではないことははっきりしていて。


 しかし熊と対峙するのも嫌だったので――私はそのまま数枚写真を撮って去ることにした。


 後日ミーゼルに問い詰めてみたのだが、彼は「知らない」とか「熊といちゃつく? そんなわけないじゃん」とか言うばかりで少しも真面目に話を聞いてくれない。


 なので私は雌熊と明らかに不自然なほどいちゃつくミーゼルの写真を世に広くばらまいた。


 ちなみにこの国では人間以外の生き物と過剰な雄雌の関係となることは違法とされている――そのため彼のもとへはすぐに調査員が派遣され聞き取りが行われ、その後、彼はその身を拘束されることとなった。


 そしてミーゼルは処刑された。


 それによって私と彼の婚約は自動的に破棄となったのだった。


「聞いた? ミーゼルくん、浮気したんですって」

「しかもさぁ、相手がさぁ、雌熊!」

「うわっ……」

「人の婚約者がいるってのに何てことするのかしら、あり得ないわ」


 その話は瞬く間に世の中に広まって。


「変な趣味ね」

「ちょっと……申し訳ないけれど、正直、変わっていると言いたくなってしまうわねそれは……どう考えても普通の浮気ではないわよね……」


 ミーゼルへの皆からの印象は著しく低下した。


「信じられないわ」

「意味不明ね」

「え、熊とか、それはさすがにちょっと凄すぎ」


 彼を良き人と思う者はもうこの世には存在しない。


「浮気相手が熊って……」

「怖すぎでしょ……」

「それな」

「違法行為になってることは知ってたけど、そんな人って本当にいるのね」

「凄まじいですな」

「ま、元気なこった」

「冗談でもきついわ。背筋が凍る。背中が爆発しそう」

「せめて妄想だけにしておくべきよね」



 ◆



 何度季節が巡っただろう。

 あれからもう長い時が過ぎた。


 私はミーゼルと結ばれることはできなかったけれど、おかげで大金持ちの家の子息である青年と結婚できた。


 おかげで今も裕福かつ幸福に生きられている。


 ミーゼルが恋しいか?


 ……まさか、そんなわけがないだろう。


 だって彼とは終わったのだ。

 いつまでも過去を見ている私ではない。



◆終わり◆

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