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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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婚約破棄はともかく、ボロクソ言うって酷くないですか? ~延々と意味不明な批判を並べるのはやめてください~

「君とはもう無理だ。よって、婚約は破棄とする!!」


 婚約者アドフィから突然告げられたのはそんな言葉だった。


「そもそもだな、君は男への忠誠心がなさすぎなんだよ! 女なら普通もっと媚びて可愛がってもらおうとするものだろ? それに、そうするのが礼儀じゃないか。それが女、いや、雌として最優先ですべきことじゃないか。なのに君はそれをしない! あり得ないよ、ほんと!」


 しかも婚約破棄宣言だけでは終わらず。


「それにさ、料理も作ってくれないし! 遊びに行った時、手料理も振る舞ってくれなかったよな? 何だよあの態度! 俺を婚約者だと思っていない、いやそもそも男だと思っていない、ってことだろ?」

「あれは急だったからです」

「だとしても! 大急ぎで作って完成させて出迎えるべきだろ!? それが普通だし最低限の礼儀ってものだろう。五品くらいしかできなかった、とかならまだしも。なのに君はそれすらせずに迎えた。女として最低だ!」


 アドフィは次から次へと批判を発してくる。


「それに家が金持ちでムカつくし! 金持ちだからって俺を見下してんだろ? 馬鹿女! 女の分際で男性様である俺を見下してんじゃねぇよ! 料理作らなかったのも、毎晩会いに来て媚びてくれねぇのも、結局全部俺を下に見てるからなんだろ!」


 彼の主張は段々意味不明なものへと変わってゆく。


「お前なぁ、もう、存在が生意気なんだよ。お前なんかこの世界にいなくていいんだ。そうすればもう俺は傷つけられなくて済む! お前みたいな女は視界からも世界からも消えろってんだ! ったく。あーあー、お前が生きてるってだけで不愉快さマックスだわー」


 二時間ほど半分以上意味不明な批判を延々と聞かされ、その果てに「婚約破棄だからな、二度と顔見せんなよ」と吐き捨てられたのだった。


 ……私はなぜこんなボロクソに言われなくてはならなかったのだろう?


 その点に関しては謎でしかない。

 どれだけ思考してもその問いの答えへは至れなさそうだ。



 ◆



 あれから少しして、アドフィは処刑された。


 彼はある時旅行先で一人の美しい女性に惚れた。そして彼女を追いかけるようになったのだが、その女性の父親は国における罪人管理のトップで。女性が嫌がっているにもかかわらず追いかけ続けていたアドフィはその父親の判断で即座に罪人とされ、素早く牢屋送りにされたのだった。


 そうして罪人としての暮らしが始まったのだが、今度はそこで何度も事件に発展しかけるほどの喧嘩を起こしてしまい、問題多しとして処刑に回されたようである。


 なんて愚かなのだろう……。


 ただ、私にはもう関係のないことだから、はっきり言うならどうでもいい。


 ああそうなの?


 そんな風に軽く思うくらいの話でしかない。


 一方私はというと、つい先日紹介で知り合った男性ととても良い雰囲気になっている。


 彼は慎ましく誠実な人だ。

 だからこそ気が合うし価値観も近い。


 彼とであれば、前向きに、共に歩んでゆけると思う。



◆終わり◆

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