「お前との婚約なんざ破棄とする!」婚約者がそう告げてきたのですが……?
「お前との婚約なんざ破棄とする!」
婚約者オーディエンがそう告げてきたのだが――その次の瞬間、屋根を突き破り巨大な人の顔が落ちてきた。
その顔は明らかに異様なものであった。
とにかく大きい、首から上と同じ形、そして目玉が七つついている。
化け物のような落下物はオーディエンを押し潰した。
――そう、私を切り捨てようとした彼は、今まさにこの世を去ったのである。
彼もまた一人の人間であった。けれどもその最期に人間の尊厳などというものは存在せず。まるで小さな蟻が動物に踏み潰されるかのように、彼は謎の頭部によって潰されてしまった。
落ちてきた謎の巨大頭部は七つの目でこちらを見る。
「d3amn<<dja>ajsbabaムaaa433naaaaahn4&mab%nnn<<nbasaihab」
そんな得体のしれない言葉を発し、口もとに少しだけ笑みを滲ませる。
そして、それから数秒経って、消滅した。
(一体何だったんだろう……)
◆
あれから数年。
私は愛する人と結ばれることができた。
ただ、今でも、あの時の顔の正体はよく分からないままだ。
オーディエンを潰したあれは一体何だったのだろう……。
いつの日かまた出会うだろうか?
その時が来ればその正体が判明するだろうか?
◆終わり◆




