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君にはもう飽きた、って……何ですかそれ!? 雑ではないですか!?
「君にはもう飽きたんだ」
婚約者エンベローピアンはある日突然私を呼び出して。
「だから、婚約は破棄とする」
そんなことを告げてきた。
それも物凄く冷ややかな調子で。
エンベローピアンの瞳に優しさは欠片ほどもなかった。
「俺は俺が選んだ道を生きてゆく、だからもう二度と俺の前に現れるな」
◆
あれから三日、エンベローピアンは亡くなった。
嵐の日に周りに制止されながらも勝手に家を飛び出して川へ行って遊び、増水に巻き込まれて流されてしまい行方不明に。その後大規模な捜索によってその身は見つかったそうだが、その時には既に息絶えていたそうである。
そうして彼はこの世を去った。
でも可哀想とは思わない。
だって彼は私を傷つけた人なのだから。
◆終わり◆




