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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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167/598

婚約破棄の理由が「もう愛せそうにないから」って……私これまで貴方に愛されたことはないですけど? 言い訳が雑ではないですか?

「悪いが君との婚約は破棄とさせてもらうこととする」


 婚約者である彼リーベーゾンからそんなことを告げられたのは、動かずとも汗をかくほどに暑い夏の日であった。


「え……」

「理由は簡単、君をもう愛せそうにないからだ」


 彼はそう言うけれど、私はこれまで一度だって愛されていると感じたことはない。

 会うお誘いだって皆無だったし、声をかけてもらったこともほぼないし、こちらから声をかけて嫌そうな顔をされてしまうだけ。


 そんな風に接されてきたのだ、愛されていたなんて思えるはずもない。


「えっと、あの……愛せそうにない、も何も、リーベーゾンさんが私を愛したことはないですよね?」

「は?」

「愛してもらっていると感じたことはありません」

「はあああ!?」


 急に声を大きくするリーベーゾン。


「何だと!? 愛してきたじゃないか!! ひたすら!!」


 呆れてしまう。

 こんなことで怒り出すなんて。


 もし本当にこれまでずっと愛していたというのなら落ち着いてそれを説明すれば良いだけではないか。こういうところ、とか、実際に例を挙げて。それでいいではないか。


 責められたわけでもないのに怒る必要なんてないだろう。


「許せない! 君は! だいっきらいだ! 消えろ! 今すぐに! ちっ……不愉快なんだよ……消えろ消えろ消えてくれッ!!」


 ――そうよ、それが本心なのでしょう。


 分かっていた。

 彼が私を不愉快がっていることは。


 だから今さら驚きはしない。


「と、とにかく! さっさと消えろ! そして二度と視界に入るな!」


 婚約破棄されることも、消えろと繰り返されることも、すべて想像できる範囲内の出来事だ。



 ◆



 あの突然の婚約破棄から数ヶ月。


 私は次の婚約者を手に入れることができた。

 というのも、婚約破棄されたと聞いて婚約希望者が数名現れてくれたのだ。

 その中から厳選して。

 数名と一度ずつ会って、そこから、一人に絞り婚約へと正式に話を進めてゆくこととなった。


 様々な過程があったために色々苦労もあったけれど、でも、その努力の日々があったからこそ穏やかな幸せを掴めた――だから私は生きてきた日々を後悔はしないし、あの日々もまた大切な日々であったと思える。


 ちなみにリーベーゾンはというと。


 私との婚約破棄の後、一人の女性と親しくなり愛し合うようになり婚約までしたそうだが、ある夜些細なことで喧嘩になりその際に殴ってしまったことで女性の親を激怒させてしまい、婚約破棄を告げられてしまったそうだ。


 今度は彼が捨てられる側となったのである。


 また、女性の親はそれだけでは許さず、治療費に加えて高額な謝罪金を支払うようリーベーゾンに求めたそう。


 リーベーゾンは支払いを拒否。

 しかしそれによって女性の親は怖い男の人たちを雇って執拗にリーベーゾンに迫らせるようになって。


 その恐怖によって心を病んだリーベーゾンは、ある夜、悪夢を現実と勘違いして建物の二階から飛び降りたらしい。


 そうして彼はこの世を去ったのであった。



◆終わり◆

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