幼馴染みの彼が婚約させられてしまうこととなったのですが……? ~それでも二人で生きたいのです~
「アイリーナ、大きくなったら僕のお嫁さんになって!」
「うん! なる! リズミーのこと大好き!」
私アイリーナと幼馴染みである彼リズミーは仲良しだった。
二人の仲は非常に濃いものであった。
それこそ、未来を誓い合ってしまうほどに。
私たちは共に行く未来を信じていた。
結婚して、幸せになって、共に生きてゆく――お互いにそのつもりだったのだ。
だが、年頃になると、リズミーはアンネという女性と婚約させられてしまった。彼は嫌がっていたし嫌だという意思も示していたが、それでもどうしようもなかったようで、無理矢理婚約させられてしまったようであった。
その話を聞いた時はかなり落ち込んだし悲しみもした。
――しかしリズミーは私のところへ戻ってくる。
「婚約破棄されたから帰ってきたよ」
「え!?」
「……ここだけの話、アンネさんには嫌われるようにしたんだ。不快がられるように振る舞った。そうしたら無事婚約破棄してもらえて」
彼はそう言っていたずらっぽく笑う。
「だから帰ってこられたんだ」
その笑みに、私は希望を見た。
「リズミー……!」
「長いことごめんね。これからまた、仲良くしてくれる?」
「ええ! もちろんよ! 仲好くしたいわ」
「ありがとう」
「そんなの。ありがとうと言うべきなのはこちらだわ。貴方に非は一切ないわよ」
こうして再び近づくことのできた私たちは、両親のもとから離れ、二人で新しい人生を始めてゆくことにした。
新しい土地でも前向きに生きてゆける。
未知が多くとも心折れたりはしない。
だって、大切な人が傍にいてくれるから。
◆終わり◆




