婚約破棄の際、取り柄がないとかなんとか言われてしまったのが気になっていたので……誰にも負けないところを得るため活動開始しました!
「お前との婚約だけど、破棄することにしたから」
婚約者ローレアイはある強風の日に突然そんなことを告げてきた。
「お前ってさ、華ないだろ? で、だからといって何か取り柄があるわけでもないしさ。そういうとこが嫌なんだよな。だから婚約破棄することにしたんだ。お前といても俺何の得もないからさ。だから、これからはもう一緒にはいない、そう決めたってことだよ」
ローレアイは平然とそんなことを言って。
「二度と俺の前に現れるなよ、取り柄の一つもねー低級女」
私を捨てたのだった。
◆
取り柄のない女、そんな風に言われたことを許せなくて、私はそれから最強になるべく動き始めた。
まずは近所の人に相談して知り合うことができた剣士の女性に弟子入り。そこで剣の腕を鍛えてもらう。そして二十歳になってすぐ冒険者申請を出し、冒険者としての活動を開始する。
そこからは経験を積む段階。
とにかく毎日洞窟へ行きたくさんの経験を重ねた。
また、その中で出会った有能な冒険者の人たちに様々なことを教わりつつ、得た知識を活かして活動を継続。
そうしているうちに、いつの間にか、冒険者として最高ランクに達していて。
「いやぁ、君は天才だよ」
「強すぎィッ!!」
「お主、神クオリティな強さであるな。最強である。偉大な乙女であるな」
「すごいわねぇ」
「尊敬するするっ!」
最高ランクに達した日にはそれまでに出会った人たちに温かく祝ってもらった。
それから数年が経ち、ついに国内ランキングトップに。
国王から直接表彰されるまでになった。
◆
「聞いたぞ」
「ローレアイ……」
国内ランキングトップの冒険者となった私の前に、彼は現れた。
「トップだってな、すごい」
「ありがとう」
「今ならやり直してやってもいいが?」
彼はそんな偉そうなことを言うけれど。
「いえ、私、もう婚約していますので」
今は迷いなく強く言い返してやれる。
だって私には地位があるし婚約者もいるから。
……ちなみに現在の婚約者はこの国の王子である。
「え!?」
「ですから貴方とは関わりません」
「ぐっ……」
「さようなら、永遠に。……私はもう貴方と二度と関わる気はありません」
こうして私はローレアイとの縁を切った。
だってもう彼とは会いたくないのだ。
本当に。
もう、もう、顔も見たくないくらい。
だから永遠にさよならで構わない。
◆
ローレアイはあの後私の婚約者が王子であることを突き止め王子を殺そうと城に忍び込んだ。
だが警備に捕らえられ。
犯罪者として牢屋に送られることとなる。
そして、処刑された。
その後私は予定通り王子と結婚。
民らからも祝福されて。
幸せな居場所を手に入れることができた。
◆終わり◆




