婚約者が仕事での遠出中に事故に遭い落命しました。しかしそれによってある真実が明るみに出ることとなりまして……?
「君とならずっと一緒に生きてゆける気がするよ」
「ありがとう。私もよ。貴方を愛しているわ」
私エリアと婚約者である彼レッツは仲良しだった。
「僕もだよ、愛してる」
だから私たち二人には明るい未来があると思っていた。
「どんなことがあっても……手を取り合って、共に歩もう」
「ええ、もちろんよ」
信じていたのだ、彼のことを。
◆
ある日のこと、レッツは仕事の予定で遠くへ出掛けると聞いていたのだが、その道中事故に遭い彼は亡くなった。
そして判明してしまう。
彼の遠出が実は仕事の予定ではなかったということを。
浮気相手である女性との密会、二人きりでの旅行であったということを。
ちなみに、二人ともその事故によって落命した。
「許せないわ……。まさか彼、浮気なんてしていたなんて。酷い男ね、信じられない……」
「最低野郎だのぉ、あり得んのぉ、悪質だのぉ」
母も、父も、その話を知ると怒りを露わにしていた。
「気にすることないわよ、エリア! そんな男、こっちから捨ててやるくらいでいいんだから! それに、浮気された側に非はないんだから。エリアはもっと良い人に出会えるから! だから心配しなくていいわ」
「ありがとう母さん」
「そうだぞぉ、エリアは最高に可愛いんだからのぉ」
「父さん……相変わらずね。でも……ありがとう、今は勇気を貰えるわ」
レッツとの婚約は彼の死によって自動的に破棄となったのだった。
◆
幾度か季節が巡り、私は地域の大きめな病院で働く医師である青年と結婚した。
彼は周りに女性がいる職場で働いているが、そういった女性たちに過剰に熱を向けることはしない。関わるにしても最低限かつあっさり、である。妻である私に対しては常に誠実さを示してくれている。
だから毎日快適に暮らせている。
すべては彼のおかげだ。
彼の行いゆえに不快な思いをせずに生きられている。
そんな彼だからこそ、私は彼を支えるために生きようと思えるのだ。
◆終わり◆




