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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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ある日の午後、急に呼び出され、婚約の破棄を告げられました。~真逆のものとなった二人のその後~

 今日の午後、婚約破棄された。


 それはとても寒い日のこと。

 空気の冷たさに皮膚が焼けそうなほどであったが。


 私は突如婚約者である彼に呼び出され何の前触れもなかったにもかかわらず婚約を破棄するといったことを告げられたのである。


 彼は私を徹底的にこき下ろし、その後で関係を終わりにすると告げたのだった。


 その時の私はぼんやり「何を言っているんだこの人」なんて思っていただけで、それ以上のことは考えなかった。でもそれは多分驚きやら何やらで脳の巡りが悪くなっていたからであると思われる。つまり私はある意味衝撃に救われたとも言えるのだ。脳の動きが停止気味になっていたからこそ、その場で狼狽えることにはならなかったのだから。


 でも、時が経つにつれて、段々胸が痛くなってきた。


 家に帰ってからだ。

 本格的に辛い思いをし始めたのは。


 親にはすぐに話した。すると親は私の味方をしてくれて、励ましてもくれた。二人の私への接し方はとても優しく温かいものだった。


 けれども胸の痛みが消えることはなくて、何度も泣いてしまった。


 馬鹿なことと分かっている……。

 泣いたって今さら何も変わらないことくらい理解している……。


 でも、それでも、涙を完全にとめることはできなかったのだ。


 そして現在。夜だが、一人窓の外を眺めている。夜ゆえに暗い空間にほわほわと漂う雪を見つめて、何ともいえない気分に身を浸す。特別意味のある行為ではない。ただ、悲しみの海に沈まないようにと思って、意味のないことを続ける。そんな無意味な行為すらも、今の私にとっては微かな救いなのだ。


 ああ、とても美しい……。


 どんなに辛くても。

 どんなに傷ついていても。


 それでも自然はいつものままの姿でそこに在る。


 普遍的なもの。

 こんな夜はそれに惹かれる。


 淡い雪を見つめる時、心が少しだけ異世界に迷い込むようで、痛みも流れる血も消え去ってしまうかのよう。


 救われるのだ、雪降る夜を眺めていると。


 平時なら何とも思わないだろう。ああ雪だ、そう思うだけで。それ以上のことなんて何も感じない。でも、辛いことがあった時は、なぜだか分からないけれどその平凡なものが心を柔らかに包み込んでくれる。


「綺麗、だなぁ……」



 ◆



 婚約破棄から数週間、元婚約者の彼は亡くなった。


 噂によれば、あれから彼は酒場にて出会った一人の女性に惚れその女性を追い掛け回していたそうだ。

 しかしあまりにも酷くて。

 執拗過ぎたために女性から「もう寄ってこないでください」とまで言われてしまって。


 しかし諦めず。

 拒否されてもなお、彼女を追い掛け回したそう。


 で、やがて、女性が護衛として呼び出していた闇社会の組織に加入している男たちに反撃されたそうだ。


 その際彼は屈強な男数名に囲まれ暴力をふるわれたらしく、それにより死に至るほどの傷を負うこととなったのであった。


 自業自得の要素がかなり強いと思われる。


 それゆえ、可哀想、とは感じない。



 ◆



 あれから数年、私は今、とても穏やかに生活できている。


 ある台風の日に旅行に来ていて移動できなくなり困っていた青年を一時的に家に保護したのだが、その彼とその出来事をきっかけに親しくなり、数ヶ月文通だけで交流した後に婚約し結婚。


 意外な出会いではあったけれど、彼を生涯のパートナーに選んだことを後悔はしていない。



◆終わり◆

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