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穏やかな春の日、婚約破棄されました。しかも、まさかの展開で永遠の別れとなりました……。
その日は穏やかな春の日であった。
「君との婚約だが、破棄とすることにした」
爽やかな風が吹いている草原。
場所指定ありで婚約者ルーベルに呼び出されたからここにいる。
「僕はより良い相手を見つけて希望を見据えながら生きてゆきたい。そのためには婚約者は君では駄目なんだ。君が相手では希望溢れる明るい未来など絶対に見られないからな」
長い髪を風が煽る。
そのたびにバランスを崩しそうになって、でも、踏ん張って耐えてみせる。
「では、そういうことなので」
ルーベルがそこまで言った時、脳内に『逃げなさい!』という謎の女声が響いた。
意味なんて分からないままでその場から走って移動する。
するとその直後私たちがいたところへ空から降ってきた燃える岩石が複数降り注いだ。
「あ……」
声が出ない。
あまりにも唐突過ぎて。
声を出そうとしたけれど、掠れたような変な声だけが出てしまった。
そうしてルーベルはあの世逝きとなってしまったのだった。
◆終わり◆




