表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/598

お茶会を楽しんでいたのですが、謎の女が殴り込んできまして……? ~急に現れて、一体何なのでしょうか~

 その日もいつもと変わりなくお茶会を楽しんでいたのだが。


「あんたねえええええええ! さっさとアドリー様から離れなさいよおおおおおおおお!」


 お茶会をしていた庭に侵入してきた謎の女がそんなことを叫びながら襲いかかってきた。


 アドリーというのは私の婚約者の名だ。

 ということはつまり彼女はアドリーに関係する誰かなのだろう。


 ただ、私を敵視していることは明らかなので、そこから推測するに恐らく彼女はアドリーの男女という意味での関係者なのだろう。


 ……なんということだ、厄介なことになりそうな予感。


 彼女は私が着ている服の襟部分を掴んで「邪魔なのよあんた!」などと怒鳴ってくる。その形相はまるで鬼のよう。恐ろしさの塊、みたいな顔をしている。本来であればそこそこ美しい女性なのだろうと想像するのだけれど、怒りと憎しみに染まったそれからは恐ろしさしか感じ取ることができない。


「あんたなんて殺してや――」

「やめなさいよッ!!」


 女性が私の顔面を殴ろうとした瞬間、お茶会参加者のうちの一人が女性を後ろから殴って倒し地面に押さえつけた。


「大丈夫?」

「……あ、え、ええ。ありがとう。助かったわ」


 凶暴な女性は地面に押さえ付けらえていてもなお暴れている。

 また、暴れながら同時に私への暴言を吐き続けているので、なおさら野獣のようだ。


 こんな恐ろしい女性、アドリーはどこで知り合ったのだろう……。


「取り敢えずこの女、警察に突き出してくるわ」

「え、いいのかしら」

「当たり前でしょ。この女がやろうとしたことは犯罪だし。じゃ、行ってくるから」

「……ありがとう」


 こうして私を襲った女性は警察にお世話になることとなったのだった。


 彼女は牢屋送りに。

 当分一般社会には出てこられないだろう――そう思っていたら、牢内での態度が悪かったとか何とかで思っていたより早く処刑に回された。


 あれほどまでに敵意や殺意を向けられたのはこれが初めてで、だから私は何だかとても怖かった。またいつの日かあの女が社会に出てくるのだと考えるだけでぞっとして眠れそうにない夜もあった。


 だからこそ、彼女が処刑されたと聞いた時には嬉しくて。


 そこには言葉で表現できないほど大きな安堵があった。


 その後私はアドリーから話を聞いた。


 するとアドリーとあの女性が実は恋仲であったということが判明。

 また、アドリーが「もうすぐ婚約破棄できそうだから待っていて」などと言っていたことも発覚した。


 アドリーは「本当は別れる気なんてなかったんだ」と言っていたけれど、今さらそんなことを言われても信じられるはずもないので、彼との婚約は破棄とすることとした。


 償いのお金はしっかりと払ってもらい、アドリーとの関係はそこでおしまいとする。


 婚約している身で他の女に手を出していた彼が悪い、自業自得だ。


 その後アドリーは結婚相手を新しく探し始めたようだが評判が悪すぎるせいでまともな女性からは少しも相手にされなかったようである。


 それから少しして、私は良き人と巡り会え、その人と結婚。


 幸せな家庭を築くことができた。


 あの時アドリーに執着していなくて良かった。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ