嫌がらせばかりしてくる最低姉は最終的に自滅したようです。~私は幸せになりますが、貴女が幸せになれるわけがありませんよね~(1)
姉ベイルは私の人生が良いものとならないようたびたび妨害してきた。
「やめて姉さん!」
「やめなぁ~い」
子どもの頃、作品展に出す予定だった工作に黒い液体をかけられて。
「あ……ああ……」
「あらあら、どうしちゃったの? な~に泣いてるのよ、メリ」
提出できないくらいまで汚され台無しにされたり。
「姉さん酷いわ! こんなことをするなんて!」
「何よ急に、他人のせいにして。あたしのせい? そんなわけないじゃない。なすりつけないでちょうだい。それ以上そんなことを言うのなら親に言いつけるわよ」
「汚したのは姉さんよ!」
「馬鹿ね、悪いのは汚れてしまうようなところに置いていた貴女でしょ」
友人が大事にしている小さな鹿の置物の脚を折られて。
「メリがうっかり折っちゃったのよぉ、ごめんなさいねぇ」
「……メリちゃん、これ、わたしが大事にしてたこと知ってたでしょ?」
しかも嘘を告げられて。
「私じゃないわ!」
「お姉さんがそう言っているの、それが嘘だっていうの?」
「そうよ、嘘よ、だって脚を負ったのは私じゃなくて姉で……」
「ふぅん。お姉さんのせいにするなんて、メリちゃん、意外と悪い子なんだね」
「悪い子!? 違う、違うわ! 壊したことは謝るけれど、でも、本当に、折ったのは私じゃないの!」
「もういいよメリちゃん。嘘つきだって分かったから。もう二度と関わらない、友だちやめるね」
結局私のせいになってしまって友人から別れを告げられてしまったことだってあった。
――姉さえいなければもっと多くの幸福が手に入っただろうに。
また、大事に思っていた婚約者から急に婚約破棄を告げられたのことがあったのだが、それもまたベイルが裏で動いていたせいであった。
彼女は姉でありながら妹である私の婚約者に手を出した。
勝手に深い仲になり、その状態で私に関する悪い嘘を吹き込んで、彼が私を捨てるように仕向けていたのである。
そんなだから、私の中の姉への恨みはとんでもなく大きなものとなっていた。
それでも反撃はしなかった。
実際に手を出すようなことはせずに生きてきた。
◆
ある日平凡な日、私は、出掛けた先の薔薇園にて一人の青年と言葉を交わす関係となる。
「好きなんですか? 薔薇」
きっかけは彼が声をかけてくれたことであった。
「はい」
「何色が好きとかあります?」
フィジップと名乗った彼は柔らかな笑顔が印象的な人で。
「そうですね……赤、ですかね」
「そうでしたか。それは、結構王道ですね」
言葉を交わしているだけでほっこりした気持ちにさせてくれるような不思議な力の持ち主であった。
「……変でした?」
「いえ。変ではないですよ。むしろ良いことと思います。実際魅力的ですしね、赤い薔薇は」
「分かってくださいますか」
「ええ、分かりますよ」
「それは良かった。それで、フィジップさんは? 何色がお好きですか?」
「白ですね」
「そうでしたか……! 白薔薇ですね」
「はい」
気づけば彼との会話に夢中になっていて。
「フィジップさん、よければまた二人で会いませんか?」
そんな風に誘ってしまっていたほどであった。




