表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/598

捨て子から聖女になった私は婚約者の王子に侮辱されたうえ婚約破棄されました。~後から何を言っても無駄です、貴方のもとへは帰りません~(後編)

 ◆



 突然実家へ帰ることになって。


「なんてことだ、婚約が破棄になるなんて」

「父さん……ごめんなさい、私……」


 かつて温かく見送ってくれた父にはとにかく申し訳なくて、事情を説明する間ずっと泣きそうだった。


「いやいいんだ、お前は悪くないよ。だってそうだろう? エイリーシアが何かやらかしたわけじゃない」

「でも、もし私が本当の娘だったなら、こんなことにはならなかったかもしれない……」

「何を言うんだ! お前は大切な娘だ!」

「父さん」

「そんな酷い言葉をかけるような男に嫁ぐ必要などない! ここにいればいい。いつまでもな。そして、もし出ていきたい時が来れば、お前の意思で出てゆけばいい。それまではここにいなさい」


 でも、こんな時でも、やはり父は優しかった。


「そうよ、エイリーシアはエイリーシアが望む道を行けばいいの」

「母さんも……」

「元気を出して! 辛いでしょうけど、きっと良い未来が待っているはずよ。心ないことを言う人のところにいる必要なんてないわ!」

「……ごめん、ありがとう、本当に」


 それから少しして、国王より「話がしたい」という連絡があった。何でもエルヴェルトは国王が知らないところで婚約破棄を決め宣言し私を追い出すところまでしていたそうなのだ。それで、改めて皆で話がしたい、と。国王からのメッセージはそういうものであった。


 しかしそれは両親が断ってくれた。

 そのようなことは対応できない、と、はっきり言ってくれたのだった。


 まぁ実際私も若干心が弱り気味だし……。

 それにエルヴェルトとなんてもう会いたくないし……。


 なので両親のサポートは大変ありがたいものだった。


 以降も何度か国王より連絡があり、そのたびに「話し合いたい」というようなことを言われたが、それらもすべて拒否――そんな中で迎えた冬の日、国王は突如亡くなった。


 暗殺されたのだ、何者かに。


 王家に激震が走る。


 もっとも、家の長たる王が突如暗殺されたのだから、親族が衝撃を受けるのも当然といえば当然だろうが。


 その頃になってエルヴェルトは私のところへやって来て「やはり聖女が必要かもしれない、なので、やり直してほしい」などと頼んできた。国王暗殺によって怖さを感じたからだろうか、以前より態度は小さくなっていた。しかし今さら彼に親切にする気もないので丁重にお断り。


「ごみ捨て場にいたような女の力を借りるなんて、貴方だって嫌でしょう?」


 親にも協力してもらい、帰ってもらった。


 かつて私のことを侮辱した男に協力する気など一切ない。心ない言葉をかけ私を傷つけたのだ、彼は。そんな人を許し再び彼のところへ行って支えるなど不可能。私も、両親も、そのようなことは絶対に受け入れられない。


 それからも王族には災難が降りかかり続けた。


 複数の王族が続けざまに暗殺され、また、民の目の前で射殺される者まで発生。死神に狙われた、そう皆から言われるほどに、王家は災難に見舞われ続けることとなる。


 そしてついにエルヴェルトも命を狙われる。


「た、助けてくれ! 誰か! ニーナ、助けてくれえぇぇぇ! ぎゃあぁぁぁぁあ!」


 ある夜彼は残酷な形で殺害された。

 その時ニーナもその場にいたようであったが、ニーナはエルヴェルトを護ろうとは一切せず逃げ出したようであった。


 だがそのニーナも翌朝には殺められていて。

 エルヴェルトの死の翌日、王都の中央公園には、彼とニーナの亡骸が何者かの手によって棒にくくりつけられ晒されていた。


 こうして王家は滅んだ。

 国も一時的に不安定になってしまった、が、新たな指導者が民から発生したことにより国は着実に前へと歩み始める。


 そして私はというと、その指導者と結婚した。


 彼は皆を率いる強い力を持つ人。カリスマ性もあり、様々な方面で長けている部分があり、指導者としての才を生まれながらにして持っている。が、ただ勢いや迫力があるだけではない。味方、護るべき者、そういった存在に対しては非常に優しさも持っている人物である。それゆえ妻となった私にも彼は思いやりをもって接してくれた。


 彼は国を率いる。

 私はその隣で聖女の力をもって支える。


 二人でならきっと、この国を護ってゆけるだろう。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ