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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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聖女アマリリス、このたび婚約していた王子から婚約破棄宣言をされてしまいました。

「貴様などろくに役に立たないただの女だ。しばらく関わってきてそう判断した。よって! 貴様との婚約は本日をもって破棄とする!」


 聖女アマリリス、それこそが私の呼び名。

 有事に国を護る力を持っているということが判明した私は、半年ほど前、王子エンベロービと婚約したのだった。


 だがその関係はそう長くは続かなかった。


「俺には可愛い可愛いエリーナがいる。だから貴様のようなぱっとせず面白みもない女なんかは不要なのだ。聖女? そんなこと知るか。俺の人生には関係ない。だから! 貴様とはもうおしまいにするのだ!」


 エンベロービは幼馴染みで恋人のような関係でもある女性エリーナのことしか考えていない。彼はエリーナのことだけしか考えられない状態だし、エリーナただ一人だけを愛している。

 そんな彼からすれば形だけの婚約者である私はどこまでも邪魔でしかない存在なのだろう……恐らくは。


「じゃあなアマリリス、二度と俺の前に現れないでくれよ」


 こうして私たちの関係は終わってしまったのだった。


 やはり愛がないから続かなかったのだろうか?

 どうしても愛が必要だった?


 だが、まぁ、いずれにせよ終わったことは終わったことだ。


 過ぎたことばかりに目を向けるのはやめよう。

 そして繰り返し悲しむのはやめよう。



 ◆



 あの後、私のところには他国の王家からの求婚があり、吟味した結果私は大陸で最も大きい帝国へ嫁に行くことにした。


 国を出ることに対する躊躇いも多少はあった。

 でも自分で選んだ道に後悔は要らない。

 進むべき道を決めたならあとはただ進むだけ、それが生きるということだろう。


 そうして私が帝国へ嫁いだ一年後、エンベロービらがいたあの国は滅んだ。


 ……否、厳密には、王家が倒れたのである。


 王家の終焉、その引き金を引いたのはエンベロービと婚約したエリーナだったようだ。


 エンベロービと婚約してからというものエリーナは王家のお金を使って好き放題遊び回るようになったそうで、エンベロービがそれを止められなかったこともあって王家の経済状況は急速に悪化、王家が民に嫌われたこともあってそこから王家は急激に弱っていったそう。


 で、最終的には、民らによって王家は統治者の座から引きずり下ろされた。


 ちなみにエンベロービとエリーナも民らの手で処刑されたそう。

 私を無理矢理消し去ってくっついた二人だが、どうやら、彼らには幸せな未来はなかったようだ。


 ……ま、もはやどうでもいいことなのだけれど。


 なんにせよ、私は私で前を向いて生きてゆく、それだけは決して変わることのない事実。


 私は帝国で皆に愛されながら生きる。

 そして私も国のために民のために働き生きていくつもりだ。



◆終わり◆

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