とあるパーティー会場にて、義妹からとんでもないことをされてしまったのですが……そこに救いの手が差し伸べられまして!?(後編)
「できますよ」
「それは……凄いですね」
「なんたって、僕、王子ですから」
ここにきて突然の正体明かし。
「え!?」
思わずこぼれる変な声。
「あはは、すみません驚かせてしまって。でも事実なんですよ。なんせ今日のパーティーは僕が主催したんですから」
「ええっ!? そうだったのですか!?」
「はい、そうです」
「それは……知りませんでした。そういうことでしたら、色々失礼があったかもしれません。すみません……」
その後彼によって義妹はその悪行を暴露されてしまった。
「ああそういうことだったんだ、じゃあ悪いのあっちじゃん……」
「義理とはいえ姉にそんなことするなんてねえ、酷いわねえ、最低な女だわねえ」
「迷惑すぎでしょ、くしゃみかけてくるとか……」
「……くずじゃん」
「悪女妹のほうかーい」
「自分だけ綺麗にして他人を汚くするなんて、ないわー。きっつー。唾やら何やらをかけるとかあり得ない行動だわー」
パーティー参加者の冷ややかな視線は私からは離れ、逆に義妹へと向いた。
「くしゃみ他人にかけるとか、きったねー女だな」
「いやほんまそれな」
「ふほほ、人として終わっておりますな」
「おらはかけてほしいけどなぁ」
「何言ってんだお前あり得ねぇぞその発言急に性癖暴露すんなて」
男性たちからも引いたように目を向けられてしまって。
「いやあああああ!!」
それによって義妹は精神崩壊した。
「嫌よおおお! 何もしてないのに嘘を言いふらすなんてえええ! お義姉さまの馬鹿ああああ! 嘘を言いふらしてどういうつもりなのよおおおお! 恥を掻かせてええええ、絶対許さないからああああああああ!」
その日から私は城に住むこととなった。
「お召し物はこちらへ置いておきますね」
「あっ、ありがとうございます!」
「お気をつけください。そこの棚、倒れやすいですので。あまり体重をかけられませんよう」
「あ、はい! 気をつけます!」
「それでは、わたくしはこれで」
「はい、お届けありがとうございました」
それから一ヶ月ほどが経過したある日、義妹が城に侵入し捕まった。
彼女はあれからずっと私を恨んでいたようで、城に忍び込んで私を殺そうとしたようだが――残念ながらその復讐は失敗という形で終わった。
ちなみに彼女はその後処刑された。なぜなら、私を殺そうとして捕まったうえ反省の色を一切見せなかったからだ。その態度のせいで彼女は殺められることとなってしまった。もう少し誠実な態度をとっていれば、反省しているふりだけでもしていれば、処刑まではいかず強制労働くらいで済んだだろうに。
ただ、彼女にはもう、策を考えるほどの知能は残っていなかったのだろう。
――その後色々あって私は王子と結婚した。
「あの日、助けてくださってありがとうございました」
「いえいえ」
「こんな未来が来るなんて思わなかったです、が……この運命はとても偉大で嬉しいものです」
私は幸せへの道を歩む。
ゆっくりな歩みかもしれないけれど、それでも着実に進んでゆく。
この歩みを制止できる者など存在しない。
「僕のほうこそ、貴女には完全に心奪われてしまいました」
「それは……直接言われると照れてしまいますね」
「あはは、照れていても大丈夫ですよ。……それでも僕は、いつだって、本当の心を貴女に伝えたいのです」
――そうよ、私はハッピーエンドへと向かうの。
◆終わり◆




