婚約破棄され落ち込んでしまっています。湧いてくるのは後悔ばかりです。
婚約破棄された。
今はただ悲しくて、でも、まだ理解しきれていないからか涙はそれほど溢れてはこない。
彼のことを愛していた。ずっと。出会った頃からずっと。そして、暫しの片想い期間を経て、私たちは互いを見つめるようになったのだ。その先にあったのが婚約。私たちは同じ想いで息をして見つめ合い言葉を交わしていた。それは確かなことだったのだ。
――でも彼の目に映るのは私ではなくなってしまった。
いつからだろう。
彼は私ではない女性を想うようになっていったのだ。
そうしてついに告げられることとなった、婚約破棄。
私は彼に捨てられた。
もう要らない。
そう言われたも同然だ。
どうしてこんなことになってしまったのだろう? ――そんなことばかりが今も脳内を巡っている。
止めようとしても、考えても無駄だと分かっていても、それでも私はその思考を停止させることができない。
……きっとこれは止められないのね。
諦めるしかないのだろう。
たとえそれによって己が苦しむとしても。
今はもう仕方がない。
いつの日か、前を向ける時まで。
ただ息をしよう。
ただ生きていこう。
ただ、何でもない日を繰り返して。
◆終わり◆




