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第8話: うちの最悪な担任

 入学式から日は浅いが、徐々に学園生活に慣れてきた。

「ジェイド~一緒に登校しよ」

元気なルーナの声が聞こえてきた。

「わ、わたしも一緒に登校してあげるんだから」

...いつものメルスである。


「昨日のご飯おいしかったね、思い出したらまたお腹すいてきちゃった」

「朝ご飯抜いてきたのか?」

「もちろんいっぱい食べたよ!」

「...」「...」


「そういえば今日は実習ね」

「あぁそうだったな」

 今日からいよいよ魔術実習が始まる。実践に近い方式は評判が良く、この学園の名物である。

訓練とはいえ、フェイズに立ち向かうため、気を引き締めなければならない。


「実習大丈夫かなぁ...」

「なに弱気になってるのよ!やるしかないじゃない」

心配になるのも不思議ではない。この学園では「実習」は特に重視されており、いくら筆記試験の結果が良くても、実習の成績が悪ければ下位のクラスに落とされたり、最悪留年になってしまう。


「私たちは最下位のクラスである「F」に分類されているから、特に頑張らないといけないわ」

入学試験では、上位の成績を収めたものからクラスが分類される。俺たちは最下位であるF、いわゆる”底辺”である。ギリギリで入学したものと揶揄され、理不尽な扱いを受けることもあるが、まだ1年生次の年次で決まるクラス分けで、逆転の可能性は十分にある。


「大丈夫さ、真面目にやれば心配ない」

初めての実習だ、そこまで厳しくはしないだろう。そう皆は信じていた。


今日は一日学校が始まる。


「お前らついに実習だ。準備が必要だから先生はもうすぐここを出る。集合場所や持ち物とかはこの紙に書いてあるから準備しておくように」

一枚の紙切れには、持ち物:勇気 …ふざけているようにしか見えない。


「はーい 実習始めるぞ」

集合場所は、校舎から離れた森の小さな広場だった。

「ここにある旗があるの分かるな、これをフェイズから守ってもらう」

広場の中央には、見慣れない大きな旗が立っていたのはこのためか。

一同は旗を見上げている。


「もちろんクラス全員でな」

第1回目は対フェイズの協力訓練だ。いきなり協力とはハードルが高いが、これも経験に学べということだろう。


「フェイズを模した魔獣が今回の相手だ。旗を20分間守ればお前らの勝ち、ちなみに守れなければ連帯責任だぞ」

中々酷なことを言ってくる。


「一切手を抜いてないからな、死んでも知らねぇぞ」


勇気のある者が言う

「え、それって教育者としてどうなのでしょうか...」


「ここは魔術学園だぞ 才能のある者を伸ばすのが教員の使命だ。ダメだったらそこまでだ」

「ずべこべ言わずさっさと陣形作れ」

苦言は一瞬にして跳ね返された。

どこまでも適当な担任と、厳しい訓練という最悪の組み合わせが今始まる。



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