第6話: 皆で食事でも
「ってことでテストも終わったし今日は解散にする」
やっと解放された。忙しい日々が続くが、新しいものの連続で、すっかり疲れを忘れていた。
「ジェイドとメルス 早く終わったし食堂にでもいかない?」
ルーナもその一人である。
学園には、大きな食堂から小さな食堂まで6店舗存在する。もちろん学園の外にも飲食店はあるが、安くておいしく、学生にとってはありがたい存在である。
「僕まだ食堂どこにあるのか分かんないんだよね」
「ちょっと あんたが誘ったんじゃない!」
すばやく突っ込む
「ここから一番近い食堂知ってるから、そこ行きましょ」
そこは学園の中で一番大きな食堂、1000人は入るだろうその空間に圧倒された。
「何を食べようか迷うな」
食事はバイキング方式でついつい取りすぎてしまいそうだ。
「僕はとりあえず美味しそうなのたくさん食べるよ」
ルーナは食いしん坊で、すでにジェイドの倍はある皿をさらに取ろううとする。
まったくその体のどこに入るんだか。
「いただきまーす」
「このからあげ美味しいよ!」
まっさきにルーナが反応をする。
「たしかに皮はパリッっとしてて中はジューシーでおいしいわ」
友達と一緒に食べる食事は格別だ。こうしておいしいという感覚を共有できるのは人間らしくもあり、幸せな時間だ。
「そういえばこの学園ってたしか偉大な魔術師が作ったんだっけメルス」
「えぇ、フェイズがこの世界に現れたとき、人類を救った救世主フェストル・ノルクス・アクシビター師が開校したわ」
「だから国中の人々がここの入学を志望する理由の一つね」
この学園の入学倍率は70倍を超えており、入学の難易度は極めて難しい、だが充実した施設にトップレベルの魔術を学べるフェストルは、優秀な魔術師を育てるのには最高の環境である。
「随分と詳しいな」
「イヤイヤイヤソンナコトナイシ」
メチャクチャ早口になってる。
「まぁその魔術師は開校したあと突然姿を消したとか、怖い話もあるけどね」
「いろいろ謎が多いんだな」
そんな中ルーナは話しも聞かずに食べ続けている。
「そうだ、卒業後は皆どうするんだ?」
「私は大学へ進学したいわ。この3年間では学べる量に限界があるものね」
「僕は早く故郷に帰って働きたいと思うよ モグモグモグ」
「あ、聞いてたのねルーナ…」
どうやら耳は良いらしい。
「こう見ると卒業後の進路も人それぞれなんだな」
「えぇ、そのまま卒業してもよし、付属の大学へ進学するのもよしって感じらしいわ」
学園都市に位置している魔術学園。故郷に貢献したいと志し入学する者も少なくない。下宿生にとってこの3年間は貴重なものとなるだろう。
それにしてもなぜ人形が俺の魔法を跳ね返したのだろう。
疑問が頭を過る。