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ブレイバーズ・メモリー(2)  作者: 橘 シン


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18-10


 明けて翌日。


 朝食と身支度を終え、すぐに出発。


 今日はスチュアートが先頭。

 その後をついていく。


 目的地である領地にはすでに入っている。


 シアリバ領。

 穀倉地帯を統括管理する領地の一つ。


 領主が住む屋敷と町は隣接している。


「あれですね?」

「そうだ」

 地平線に町が見えはじめた。


「レスターさん!あれ」

 サムがレスターを呼ぶ。

「どうした?」

「竜騎士隊じゃないっすか」

 

 竜騎士隊?


 斜め右前方。 

 脇道を、僕達がいる本道に向かって走って来ている。


 少しづつ近づき、竜騎士隊は僕達を見ているように見える。


「レスター」

「はい。止まりましょう」

「うん」

 

 交差路手前で一旦止まった

 

 竜騎士隊は四人。

 四人は速度を落とし、脇道から本道へ入り僕達の方に向かってくる。


「僕達に用があるみたいだね」

「でしょうね」


 竜騎士隊に出会うのは初めてじゃない。

 王都に向かう時も竜騎士と出会い職務質問を受けた。


「ここから一番近いのは…六番隊っすね」

「六番隊なら以前も会っている、確か」

「王都に向かわれた時ですよね」

「うん。あの時は街道で止められて…」


 悪い事をしてるわけじゃないからいいんだけど。


「竜を降りよう」

「降りる必要はありませんよ」

「わかっているよ。でも、向こうは不審に思っているはすだ。降りておけば不信感は薄れし話もスムーズに行く」

「やましい事をしているわけでは…」

「やましい事をしてないから降りるんだよ」

 僕は竜を降りた。


 レスターは領主として、僕に恥をかかせたくないんだろう。

 領主が竜騎士隊に下手(したて)に出ては威厳が損なわれる。

 僕は全然構わない。 


 他三人も竜を降りる。


「自分に任せてください」

「ああ」


 竜を脇に寄せる。


「我々は竜騎士六番隊だ。どこ所属の竜騎士か?」

「シュナイツ領竜騎士隊、レスター・マリウス」

そう言って敬礼する。

「シュナイツ?」

 

 六番隊の四人は僕達を見回す。

 以前に会った者達ではないようだ。


「ヴァネッサの部下か?」

「はい」


 ヴァネッサを呼び捨て。

 知り合いだろうか?いや、彼女は有名らしいし竜騎士なら知っていて当然か。


「ここで何をしている?」

「シアリバ領へ。シュナイツ領領主、ウィル・イシュタル様をお送りしているところです」

「イシュタル卿?」

 班長らしき人物が僕を見る。

 そして、部下達と何かひそひそ話。


「全員、降りろ」

「はい」

 六番隊の四人は竜を降りる。


「お初にお目にかかります。イシュタル卿」

 敬礼する班長。

「ああ…どうも…」

 こういう時、どう反応すればいいんだろう?。


「シアリバには小麦の買付について交渉しに来たんだ。領地との事前の手紙が…」

 僕は手紙を取り出そうとしたが…。

「結構です」

「え?そう?」

「はい。そちらの竜、イシュタル卿の竜で間違いございませんね?」

「ああ、僕の竜だけど…それが何か?」

「陛下から竜を送られた領主がいると噂を耳にしております」

「噂…」

 噂になっていたのか…。


「戦闘用の竜ではないようですし、失礼ながら竜騎士にも見えない。だとしたら、イシュタル卿に間違いないかと」


 まさか竜が身分証明になっているとは…。


「自分達はこれで失礼します」

「ありがとう」

「いえ、お手数おかけしました」


 四人が竜に乗り込む。


「ちょっと、聞きたい事があるんですが?」

 レスターが前に出る。

「なんだ?」

「この辺りで賊が出没するという報告は上がっていますか?」

「この辺りからは、報告は上がっていない。あるのは街道からだけだ」

「そうですか…」

「どうした?」

「部下が姿は見えないが視線を感じると」

 レスターの言葉に竜騎士隊の表情が固くなる。

「本当か?」

「サム」

「はい!」

 

 サムが前に出て、これまで状況を説明する。


「…という事であります」

「なるほど…」

「賊にだったら中々の手練ですね」

「単なる勘違いじゃないのか」

「いえ、間違いないです」

 サムは自信もって発言する。

「勘違いで済ませるな。小さな見落としが大事になる時がある」

 班長は部下を窘める。

「委細承知した。これから巡回に出る所だ、いっそう注意しよう。上にも報告する」

「ありがとうございます」

 

「では、イシュタル卿お気をつけて」

「ああ、ありがとう」


 竜騎士六番隊の四人は西へ駆けていった。


「行きますか」

「ああ、そうだね」


 僕達も竜に乗り、道を進む。


「ウィルの竜が噂になってるみたいっすね」

「うん…良い噂なのかな」

「もちろん良い噂でしょう」

「だと、いいけど…」


 この竜は国王陛下から個人的に送られたものだ。

 やっかみみたいのだったら、嫌だな。 

 それでなくても、シュナイダー様の後を継いでいるんだし…。


「ウィル様が気にする必要はありませんよ。陛下に頼み込んだわけではないですし」

「ですよね~。一発で竜に乗れたんです。むしろドヤ顔で自慢していいっすよ」

「ドヤ顔ね…」

 僕は苦笑いを浮かべた。

「竜の代金も陛下のご好意と聞いています。誰も文句は言えませんよ」

「うん…」

 そうだね…。


 昼頃、町に到着。

 さほど大きな町ではない。

 商会、商人が来るのは収穫時期のみだからだろうか?。


 館の場所を町人に聞き、そちらに向かう。


「ここか…」

「でけえ…」

 

 シュナイツのとは比べ物にならないほどの大きい

 

 館は二階建て。奥行きがある。

 立派な門があり大きいな玄関が見れる。

 周囲を生け垣で囲まれいた。


 レスターが周囲をキョロキョロと見回している。


「レスター、どうかした?」

「ここ、来たことあります…」

「そう?」

「任務とかで?」

「いえ、子ども頃ですね」


 レスターは今の今まですっかり忘れていたようだ。


「これは商館で、領主邸宅は別の所だったはずです」

「そうなんだ…」

「そっちもでかそう…」


 商館は人の出入りが激しい。

 おそらく小麦の買付交渉に来てる商会の者達だろう。


 立ちすくんでいるわけにいかない。竜を降り商会へ入る。

 とりあえず、僕とレスターだけが入った。


「いらっしゃいませ」

 すぐに商館の従業員らしき女性が駆け寄ってくる。

「お名前をお願いします」

「シュナイツから来たウィル・イシュタルと申します」

「ご予定は事前に申し込まれていますか?」

 女性は書類をめくりながら尋ねる。

「はい。こちらと手紙をやり取りしまして…小麦の買付について相談したいと…」

 手紙を取り出し、女性に見せる。

「拝見します…わかりました。ありがとうございます」

「はい」

「予定表にも記載がありますが、少々お待ちいだたきます」

「構いません」

「では、こちらに…」

「ちょっとすみません。竜を停める場所は…確か裏手だと思うんですが…」

「はい。裏にございます。そちらにお停めください」


 レスターは一旦外に。

 サムとスチュアートに指示して戻ってくる。


 女性に案内され商館の中を進む。


 周囲にはたくさんの商人達が立ち話をしていた。


「盛況ですね。やはり小麦の買付に?」

「はい、この時期はいつも感じで…。やっと山を越えたところなんです」


 この時期は繁忙期。

 買付交渉が終われば、収穫、輸送となる。

 まだまだ忙しいだろう。


「イシュタル様。こちらの部屋でお待ち下さい」 


 小さな部屋へ通されれる。

 すぐに使用人によってお茶が出された。


「ここで交渉でしょうか?」

「わからない」

「領主が案内される部屋じゃない気がしますが…」

「どこでも構わないさ」

 表敬訪問をしに来たわけじゃない。


「鎧を脱ぐのを手伝ってくれ」

「はい」


 鎧を来たままでは失礼にあたる。


 鎧を脱ぎ終わった頃、先程の女性がやってくる。


「お待たせいたしました。こちらへどうぞ」

 別の部屋に案内させられる。


 鎧をレスターに持たせ、部屋へ移動。


 案内された部屋は大きな応接間だった。




Copyright(C)2020-橘 シン

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