マジック
「それじゃあ、教えてくれるんだよね?マジックってなんなの?」
森を歩きながら、遠慮無く聞いてみる。話はしてくれるんだし、聞いて損はしない。絶対。
「マジックって言うのは、マジックだよ…うーん…」
そのマジックを知りたいから聞いてるのに、何とも答えにならない答えが返ってきた。
「えっと…つまり技、って事になるかな」
技って事らしい。なるほどね。
「どんなマジックがあるの?」
それも気になる。もしかしたら、特殊な属性があるかも知れない。
「そうだね…例えば、僕の持っている火炎、後は水とか氷とか風とか…あ、夢とか呪とかもあるよ」
「夢とか呪!?」
なんか凄そうだな…
「そして、マジックの使い手をマジックユーティリティって言うんだよ」
マジックユーティリティ…か。
そう言えば、技って一種類なのかな?それとも、何種類かあるのかな?
「マジックってその…火炎のマジック、とかの中にも何個かあるの?」
「あるよ。例えば…」
地味に長かったから要約すると、それぞれのマジックに大体5個位あって、火力はライター位のものから、さっきの炎みたいなものまでらしい。
「ちなみに、マジックも進化するよ」
これも、地味に長かったから要約すると、元のマジックを5回進化させたもので、進化の為には、進化の元のマジックと、持っているエネルギーを消費するらしい。
「僕は今、レベルⅢのマジックだよ」
5回進化すると、新しいマジックが手に入るマジックがあるらしい。それをマジックサーキットって呼ぶんだって。新しいマジックがあるのは、一部のマジックだけ、だそう。
──────────
長々と、マジックの話を聞いていたら、いつの間にか森を抜けていた。しばらくは、小道が続いていて、そこを歩いていたんだけど…。
「…一応聞いても良い?」
「なあに?」
「…この先が家なの?」
「そうだよ。森の中から来ちゃったからね。少し遠回りになっちゃった」
何が少し遠回りになっちゃった、だよ!ぜんっぜん建物らしいもの見えないんですけど!私もう歩けない!
「疲れた?少し、休憩する?」
「だいじょーぶ…」
足痛いし息切れてるし…もう歩きたくないよ…
「まあ、後1時間位で多分着くから」
多分着く!これ程までに信用のない多分を私は聞いた事がない。
そういえば。
「マジックって…どうやって使うの…?」
「これだよ」
首元に手を掛けると、上に少し持ち上げる。すると、服の中から、炎型のペンダントが出てきた。
「これがある事で自由に使えるんだ」
「へえ…どこで貰ったの…?」
「それは僕がまだ小さかった時…」
結構長かったから要約すると、子供の頃に家族でキャンプをしていて、キャンプファイアの火が消えた中から手に入れた物らしい。
「このペンダントは、子供の時のどこかのタイミングで、その人に適したマジックを模ったペンダントが頂けるんだ。誰かからなのかはよく知らないけど」
みんな炎の中から貰えるのかというとそうじゃなくて、例えば、水のマジックの人は、水の中でペンダントを手に入れられるし、呪のマジックの人は、呪術中に手に入れられるらしい。神様に貰った物…って事になるのかな?
「あ、ほら、着いたよ」
いつの間にか街の広間に出たみたい。噴水があって、周りは豪華にライトアップ。明るくてよく見えないけど。蝋燭の火も何本か立っていて綺麗だ。
「あそこが僕らの家」
そう言って、噴水奥の縦にも横にも大きい建物を指す。
ギルドでもなさそうだし…何だろ?
「言い忘れてたね。僕らはこの街の管理者なんだ」
建物近くの看板を見る。
そこにはしっかりと『管理者用特別施設』と書いてあった。