繊細な僕は空を飛び灰になった
今私が思う感情を文章に込めたので至らぬ点があるかもしれません。あしからず。
✳︎僕という人
僕は今年、三十路になった。
仕事もそれなりに順調にこなして経験を積んだ。
周りにはそろそろ結婚しろだの、家買えだの、車買えだの、結構うるさい。
僕は、僕なりの人生設計がある。それに口出される筋合いはないし、
僕は自分なりに自由に生きたい。8年勤めてきた会社にずっと勤める気はさらさらない。
僕の趣味は野球観戦。生粋のヤクルトファンだ。
シーズン中は必ず一度は神宮球場に足を運ぶ。
好きな選手はベタだが山田哲人選手。
一度はプロ野球選手に憧れを持ったが、そもそも僕は昔から運動神経が悪いので小学生の頃にこの夢は諦めた。
小学生の時、運動神経が悪いからって理由でプロ野球選手になる夢を諦めていなかったら今頃、ゴールデングラブ賞を毎年受賞するような選手になっていたんだろうか・・。
「うん。それはないな。」
✳︎僕の人間関係
僕は今までの人生で人間関係に困ったことはさほどない。
強いて言えば、中学生の時に一瞬キモい人扱いをされたことはあるが、友人のおかげで難を逃れた経験がある。
高校時代を経て社会人になった時も運がいいのか周りの同僚に助けられて嫌な思いも特にせず過ごしてきた。
僕は出会う人たちに恵まれて今まで生きてきた。
何も問題はない。
至って普通の人間関係。
僕はよく、同僚に相談事を頼まれることが多かった。
職場の人間関係の相談や、人生相談、恋愛相談まで幅広く聞いた。
聞く人は皆、話終わった後清々しい気持ちで帰っていく。
その姿を見るのが嬉しかった。
唯一、高校からの友人から聞かれたことがある。
「お前に悩みはないのか?」
僕は、黙ってしまった。
これまでたくさんの友人や、同僚の相談事を聞いてきたが、
僕自身が誰かに相談事をしたことがなかった。
今の今まで気づかなかった。
友人の何気ない一言によって僕は僕自身を深く考えるようになった。
これまで、なんだかんだで幸せ者だと思っていた僕が、
心の奥底の自分と真正面から向き合うことになった。
この時、僕自身の何かの歯車が回り始めたような気分に陥った。
いや、その歯車が狂い始めたと言った方がいいのかもしれない・・・。
✳︎僕の悩み
僕の悩みは何だろう・・。
真っ暗な部屋で、時が経つのを忘れるくらい考えた。
すると心の奥底から泥水のように色んな感情が溢れてきた。
走馬灯のように幼稚園、小学校、中学校、高校、社会人と
過ごしてきた日々が頭の中で回り狂う。
その想像美はテレビ画面の砂嵐のように荒れていた。
「なぜだ?何不自由なく生きてきたのに僕の顔すらまともに見えない」
「これが本当の自分?」
「そ、そんなはずはない・・」
僕は目を閉じ心の中で「そんなことはない」と叫んだ。
砂嵐の中からうっすら僕が見えた。
その顔は・・泣いていた。
でもよく見てみると泣き顔から笑顔、交互に顔が変わっている。
本当は泣きたい自分がひたすら笑顔で友人や先生に振りまいている姿だった。
ふと我に戻った瞬間、僕は現実の世界でも泣いていた。
理由はわからない。
涙が止めどなく溢れてくる。
過去の自分は、実は本当の自分ではなかったのだろうか?
暗い部屋で独り悩みこむ。
考えれば考えるほど涙が出てくる。
「ああそうか、僕は本当の自分を隠しながら生きてきたんだ」
無意識に・・・。
✳︎仮面を被った僕
僕は無意識に仮面を被って生きてきた。
自分自身に問いかけて分かったこの事実。
普通の人生が嫌だった。
でも行動する勇気もなかった。
友人や同僚に嫌われたくなかったからいつも笑顔を振りまいた。
嘘はつけなかったけど、話を合わせた時はあった。
必死に笑う僕。
それに賛同する同僚。
自覚はなかった。
初期症状もなかった。
仕事よりも同僚の顔色を僕はいつも伺っていたんだ。
「はあ、、今日も先輩は僕の話で笑ってくれた。よかった」
知らず知らずの内に、僕は傷を負っていたのだ。
心の傷を、、、、。
✳︎終わりの幕開け
2020年7月18日、僕は死んだ。
辛かった。誰にも言えない何かを抱え込んだまま僕は空を飛んだ。
空の中はすごく気持ち良くて、気持ち良くて、笑いながら僕は泣いていた。
空から見る地球は素晴らしかった。
それは飛行機に乗っていた時に感じた地球よりもすごく大きかった。
僕はあの地球の中で確かに生きていたんだ。
なぜだろう。
今になって僕の悩みはちっぽけだったのかもしれないと急に身体が震えだしてきた。
小さな地球からたくさんの人々が僕を見ているような気分にもなった。
「お前はこんな悩み如きで死を選んだのか?」
「さぞかし天国で後悔するだろう」
「大事な人を残して死ぬなんて不幸者」
地球からみんな僕に向かってそう言ってきている気がした。
「うん。そんな気がした。」
でも僕は後悔なんてしていない。
自分の人生を全うした。
三十路で死んだって立派な人生歩んできたんだから。
生の長さは人それぞれ。
早くに死ぬ人もいるし、100歳になっても生き続ける人もいる。
どれも素晴らしい人生。
人生に短いも長いもない。
最期の時に幸せだったと思えれば僕の人生は勝利して幕を閉じることができる。
他人は他人。
僕はぼく。
他人と比べちゃいけないよ。
他人の言った言葉は聞き流すがいい。
それが無理そうなら、ちょっとひと休みしよう。
きっと疲れているんだ。
身体をリセットしてまた歩き出そう。
ゆっくりでいい。
これだけは言わせてくれ。
君はひとりじゃない。自分を大切に。必ず明るい明日が来るから。
そう言って、僕は灰になった。
ご覧いただき、ありがとうございました。
至らぬ点があったかと思います。
これから少しづつ作品を上げていけたらと思っております。
また読みにいらしてください。