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迷ってる? 第一話  作者: 佐倉蒼葉
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第7章

 その夜、バイトを終えて帰宅した僕が最初にした事は、トイレに入る事だった。

「なあ…便所紙、梶が昼休みにどこへ行ってるか教えてくれよ…。柳さんの時は教えてくれただろ?」

 はらり、と紙が落ちて来た。久しぶりだと感じた。

『柳宗一郎の時は、彼の死まで時間がなかったからだ。梶沙都莉にはまだ寿命に揺らぎがあり決定ではない』

「寿命に揺らぎ…?」

『天界でも梶沙都莉の寿命が把握できていないという事だ。だが、早ければ近々にあの娘の寿命が尽きる事になる。おまえは死神として未熟だ。これは試練だと思え。梶沙都莉の生死はおまえにかかっていると言っても過言ではない』

 そんなに重大な事が───未熟な僕にかかってるって?

「じゃあ尚のこと、教えてくれなきゃ困るじゃないか」

『ヒントをやろう。おまえは一か所だけ、見逃している場所がある。盲点を突いた場所だ。あとは自分で考えろ。おまえの成長に期待している』

「おい!人の命がかかってんだぞ!教えろよ!」

 だがもう紙は落ちて来なかった。

 疲れてリュックをダイニングテーブルに投げ出すと、カチャリと音がした。───佳純の弁当箱……洗って返さなきゃ。

 バンダナを広げて弁当箱を見る。真新しいな、と感じた。女の子の弁当箱にしては大きめだ。僕のために買ってくれたんだろう。弁当箱を洗いながら、明日は佳純と昼飯を食べて───梶の行方も探さなきゃいけない、と考えていた。

 ≪少しでも八神くんとの時間を作りたい佳純の気持ち、わかってあげてよね≫

 その気持ちはとても嬉しかったが、梶の命がかかっていると言われてしまっては、佳純を置いて梶を探さなければいけない。何て言えば佳純を傷つけずに探しに行けるだろう───

 ≪親父さんとはコンビで死神の仕事やってたんだ。今風に言うと『バディ』ってのか?≫

 そうだ、僕にはバディの鎌田さんがいるんだった!

 僕は急いで鎌田さんに電話をかけた。「おう、陽ちゃん」と明るい声。「どうした?」

「お願いがあるんだけど。明日、昼の十二時半頃に、僕に電話してくれないかな」

「電話?用事なら今聞いてやるよ」

「お願いだよ。死神の仕事なんだ。佳純からさりげなく離れるのに鎌田さんから電話が欲しいんだ」

「そういう事ならお安い御用よ。…佳純ちゃんのためか?」

「両方だよ。死神としても、彼氏としても」

「いい答えだ」

「え?」

「親父さんでも、そう言うさ」

「……」

 じゃあ明日よろしく、と話を切り上げた。

 親父でも───

 僕はまた親父の遺骨の正面に正座して、「なあ親父」と話しかけた。

「天界でも定められない寿命なら、長くしてやりたいって、助けたいって、死神でもそう思っていいの?死神は魂を天界への入り口まで連れて行くだけだと思ってた。だけど違うんだね。なんか、神様に試されてるみたいだけど、梶の命を左右するのが俺なら、絶対救いたい。じゃないと後悔しそうなんだ」

 ふっ、とロウソクの火が揺れた気がした。窓は閉めているのに。

「親父、聞いてくれてるの…?」

 無論、答えはない。

 風呂に入ったら、寝る前に明日の予習だ。眠くなりそうだ……考えなければいけない事はたくさんあるのに。まだ夜のバイトのある生活サイクルに慣れてないんだなと実感した。

「しっかりしろ、俺」

 洗面所の鏡の前で、両手でパンと頬を叩いて押さえ、なんとなく唇を尖らせた。

「アッチョンブリケ」





 朝、ネクタイを締めると気持ちもキュッと引き締まった。食パンは食べ切ったので、バイト先で買った焼きそばパンと、栄養不足を補うための野菜ジュース。リュックを背負って家を出ると、自転車のペダルが軽い。梶沙都莉の昼休みの行方はまだわからなかったけど、絶対に救いたい、と親父に語った時から、覚悟が決まっていた。

 学校の門から自転車を引いて歩いていると、一学期から見ていた第一棟の垂れ幕が汚れて見えた。風雨にさらされてそのままだったが、『女子バレーボール部 県大会準優勝』の文字が誇らしげだった。前にも言ったように、礼冠学園は進学校でもあるから、運動部に力を入れている生徒は少ない。その中での準優勝は快挙だったのだ。

 見慣れてたんで忘れてたけど───

 見上げると垂れ幕が下がっているのは、三階の窓より上だ。ということは……

 屋上。

 まだ見ていない一か所!

 確かに盲点だった。というのも、屋上は立ち入り禁止で、誰も出られないからだ。無意識に「誰も行く筈がない」と思っていた気がする。僕は駐輪場に自転車を停めて、下駄箱から階段を駆け上って屋上を目指した。

 やっぱり。前に見た時と同じだった。屋上へのドアは大きめの掛け金が取り付けられ、重たげでゴツい南京錠がかけられていた。垂れ幕は学校側が屋上のドアを開けて下げたものらしい。前に見た時というのは───

 僕がまだ一年生だった頃だ。バスケ部の連中と、練習後に学校の怪談の話になった。ユニフォームから着替えながら聞いていたところによると、十二年前……今なら十三年前だ、僕は覚えてなかったのだが───いや、誰も覚えてなかった。伝え聞いた話だという。女生徒がいじめを苦に屋上から投身自殺をしたというのだ。

 以来、その女生徒の幽霊が出ると噂になり……その後の自殺を防ぐ意味もあったのだろう、鍵が取り付けられた。だが幽霊は校内を彷徨っている、と伝えられていて、バスケ部の連中と、こっそり屋上に出られないか見に行ったのだ。無論、出る事はできなかった。幽霊が出ると噂だったのは確か第三棟───僕は渡り廊下を伝って第三棟へ移動した。屋上へのドアは、同様の鍵がかかっていた。

 と、いう事は───

 梶も外には出られず、このドアの前の階段にいる可能性が高い。鎌田さんから電話が来たらまっすぐここに来ようと思った。梶はオーラが見える強い霊感を持っている。その幽霊の力を感じているかもしれなかった。ただの噂ならいいのだけど───トイレの神が梶に気をつけろと言うのは、幽霊の存在を認めているのではないかと思われた。

 まもなく予鈴が鳴る。僕は教室に向かった。前のドアから入って、一番前の席の佳純に「おはよう」と声をかけた。

「…これ、弁当箱。美味しかった。ありがとう」

「ううん、よかった、食べてもらえて。あの…もしよかったら昼休み…」

「うん。一緒に食べよう」

 クラス公認だしね、と内心で付け足した。

 佳純は照れくさそうに微笑み、「うん」と短く答えた。この笑顔を守りたい。

 なんちゃってね……僕も照れくさくて窓際の一番後ろ、教室の特等席に着いた。そこへ梶もやってきて、斜め前の机の上に本を置いた。裏表紙が上で、区立図書館で借りたらしいバーコードのシールが貼ってあるのが見えた。背表紙にタイトル───

 『悪魔の歴史』と『神秘の黒魔術』。

 ───怖いだろ、オイ!

 霊感があると、そういう本に興味を持つのだろうか。僕は嫌な予感を抱えて梶がその本を机の中にしまうのを見ていた。

 そうして、僕は午前中の授業をそわそわして受けていた。昼休みまでがとてつもなく長く感じられた。

 やっと昼休みになって、僕は「窓の近くの方が気持ちいいから」と僕の席で弁当を食べよう、と佳純に提案した。「飯綱さんも一緒に」と机の向きを横にして、僕、佳純、飯綱の三人で弁当を広げた。飯綱がいてくれれば、佳純を一人残す事もなくなる。我ながら名案だと思った。

 今日のメインは白身魚のフライ。かぼちゃの煮付けにごぼうのサラダ、プチトマトとブロッコリーが彩りを添える。家庭の味に飢えているからか、どれも感動的に美味しい。いいお嫁さんになれるよ、と言いかけてやめた。その場合、夫になるのは僕かもしれないからだ。恥ずかしさのメーターがギュンとマックスになった気がした。

 ブブブ、とスマホのバイブで、僕はポケットに手を入れ、画面を見た。十二時半きっかり。『鎌田博』と表示されているのを佳純に見せて「鎌田さんだ」と笑いかけ、「ちょっとごめんね」と席を離れた。戸口のところで電話に出る。

「鎌田さん?サンキュ、いいタイミング」

と言いながら、佳純と飯綱がこちらを見ていないのを確かめ、廊下を走り出した。

「いいってことよ。今度の仕事は学校なのか?」

「うん。僕一人で頑張ってみるよ」

「すまんな」

 屋上へ続く階段の下で、僕は「いや、ありがとう、助かった」と答えて「また」と電話を切った。

 足音を忍ばせて上に昇っていく。ボソボソと話し声が聞こえる。───梶は一人じゃないのか?いや、梶なら独り言をぶつぶつ言っていてもおかしくなかった。ゆっくり、階段の壁沿いに身を隠しながら昇った。

「沙都莉ちゃん、ありがとう」と聞こえて、やはり誰かと一緒だ、と思った。

「…こ、これで…うう、うまくいくか…わか、わからないけど…」

 どもっているのは梶だ。何をしているんだ?

「じゃあ手を繋いで」と促す誰かの声。二人同時の声が聞こえてきた。

「サタン様、どうぞ願いを叶えてください。このドアの鍵を開けてください」

 ───サタン様、と聞いて、朝の本を思い出した。悪魔を呼び出しているのか?───マズイ。

 僕は階段を駆け上がり「梶、」と呼んだ。

 二人が僕を振り向いた。向かい合って座り、両手を繋いで円を作っている。梶ともう一人は、セーラー服の女子だ。その制服に見覚えがあった。僕が小学生の頃……七年くらい前までの礼冠の制服だ。二人が繋ぐ手の下には黒い布に白い絵の具で描いた、丸の中に複雑な模様を描いた物だった。

 魔法陣だ、と気づくのに二秒かかった。

 魔法陣で悪魔を呼び出しているセーラー服の子は……霊の姿だ、と確信が持てないほどはっきりした姿をしていた。

「な…なんで…」と梶が目を見開いて僕を見た。

「悪魔を呼ぶなんてやめろ、危険だ。その手を離せ」

「は、離せない…」

 半分泣きそうな声で梶が言った。「すご…い力…で、掴まれて…」

「ダメよ。沙都莉ちゃんはもう、私のものなんだから」

 セーラー服の女子はニヤアと笑った。

「はるかちゃん、やめて…嫌…」

 梶が言うと同時に、ドアの方からパキンと音がした。南京錠が───開いている。

「私、一人でずっと寂しかったの…。沙都莉ちゃん、私と一緒にいて…ずっと…」

 すうっと、はるかと呼ばれた霊が消えた。

 がくりと力が抜けたように見えた梶が、俯いて「フフフ…」と笑い出した。

「これで沙都莉ちゃんとずっと一緒にいられる…」

 梶───いや、梶の体を乗っ取ったらしいはるかという霊が、南京錠を外してドアを開けた。

 僕は初めて、校舎の屋上を見た。フェンスもない。これじゃ落ちろと言ってるようなものじゃないか。梶の体はふらふらと揺れながら、屋上の端に向かって歩いて行った。

「怖くないよ沙都莉ちゃん。私が一緒だからね。これからずっと一緒に遊ぼう?ねえ…」

 不意に、柳さんの言葉が思い出された。

 ≪本当に死神だったんだな。…いや、天の御使と言うべきか≫

 そうだ、僕は───死神だ。

 僕にできる事は、死神として、はるかという少女を天界に送る事だ。

「待て!」

と僕は梶沙都莉の腰に腕を回して掴まえ、今にも下へ落ちそうなのを止めて屋上に転がった。

「なぜ邪魔をする…!」

 はるかの霊が梶から抜け出して宙に浮き、僕を見下ろした。梶は気を失っている。僕は立ち上がって、逆に問い返した。

「そっちこそなぜ梶を道連れにしようとするんだ」

「…沙都莉ちゃんは…礼冠で初めての友達だったから…」

 頭の中に何かのイメージが流れ込んできた。教室だ。男子は学ラン、女子はセーラー服……はるかの記憶と思われた。

「毎日毎日いじめられて…挙句に私をトイレで無理やり裸にして写真を撮って…ばらまかれたくなかったら金を寄越せって…もうお小遣いも全部取られてそれでもお金を要求されて…そこまでは我慢もできた。だけど…」

 はるかが泣いていた。

「好きな人に裸の写真を送りつけられて…。もう…死ぬしかなかったの…!」

 なんてひどい───僕は絶句した。

「だけど…私が死んで、クラスではいじめてた人たちが笑ってた。私のこと、気持ち悪い奴だったって…死んでもあいつらは変わらなかったの…」

 あまりのひどい話に、慰めの言葉が見つからなかった。

「もうずっとひとりぼっちだった…。だけど、去年の春から屋上のドアの前で、一人でお弁当を食べてる沙都莉ちゃんを見て…ああ、私と一緒なんだって思った。沙都莉ちゃんは霊感が強くて、私のことも見つけてくれた。それから、ずっとおしゃべりしてたの。私、初めて友達ができたって思った。だから───」

「…だから…?」

「ずっと一緒にいたくて…それだけだったの…」

「それで悪霊になってしまっても?」

 僕は死神としての言葉を探りながら話した。

「悪霊になったら…おそらく、君は地縛霊としてここに居続けることになる。何年も、何十年も…。君だって、悪霊にはなりたくない筈だ。今なら間に合う。梶の命を奪うな」

「…あなた、何者…?」

「僕は…」ふう、と溜息が出た。「死神だよ。死者の御霊を天界に送るのが仕事だ」

 そう言うと、目の端が眩しくなった。シャツの胸ポケットが温かい。───身守りのお札?

 便所の神よ、今これを使え、ということなのか?

「君に憑いた───呼び出した悪魔を祓うことができるか───やってみようか」

 僕は微笑んでみせた。

「あなた…、もしかして八神くん?」

「え?どうしてそれを」

「沙都莉ちゃんが言ってた。玉虫色のオーラの子がいるって。私にも見える。今、見えた…」

 そうか───

「本当に、梶と仲が良かったんだね。梶ならきっと、君が天国に行ったと知れば喜ぶよ」

 僕は輝くお札をポケットから取り出し、端を持った。「さあ、触れてみて」

 はるかはそっと手を伸ばし、恐る恐る、お札の端を指先でつまんだ。その瞬間───

 彼女の周りが金色に光った。これがオーラ…?

「ああ…なんて事なの…?自分が透き通っていくみたいに感じる…」

「これは君が持っているといい。でもちょっと待って」

 僕はお札の端を掴んだまま、これがあれば神社やお地蔵さんがなくても天界の入り口が開く筈……と、空いた手を宙にかざした。

 見慣れたドアが現れた。

 僕はお札から手を離して、それをはるかの胸に押し付けた。

「もう…何もかも…報われるのね…」

「そうだよ。さあ、ドアを開けて」

 はるかがドアを開けると、そこは眩しい光の世界だ。

「生まれ変わって、また梶と出会って友達になって出直して欲しい」

「ありがとう、八神くん」と、はるかがやっと微笑んだ。「最後に一言、言わせて」

「何なりと」

「沙都莉ちゃんの気持ち、わかってあげてね」

「え?」

「さよなら」

と言い残して、はるかは光の中へ消えて行った。

 ドアを閉めて、消えたのを見届けた。

「親父…。世の中にはひどい奴もいるんだね…。こんな世の中で、死神をやっていくのは難しいよ…」

 梶がかすかに「うん…」と声を洩らした。僕は駆け寄り、肩を抱き起こして「気がついた?」と尋ねた。

「八神くん……は、はるかちゃんは…?」

「天国に行ったよ。僕が見届けたから安心して」

「…じゃあ…」と梶が起き上がった。

「やっぱり、八神くんは特別な力の持ち主なのね?そうだと思ったの。玉虫色のオーラなんて他に見ないもの」

「梶さん、一年の時からずっとあのドアの前でお弁当食べてたの?」

「…うん…」

「もっと周りを見なよ。そして話しかけたり、笑いかけたりしてごらんよ。寂しい霊の友達になれるなら、そんな事、簡単な筈だよ。君はひとりぼっちじゃないんだよ」

「……」

 僕は梶の頭に手を乗せて、くしゃっと撫でた。

「さあ、あの危険な魔法陣を処分しに行こう」と立ち上がった。

 第一棟の裏の焼却炉で、魔法陣を描いた黒い布を火に入れた。燃えてゆく布を見ながら、不意に梶が「八神くん」と呼んだ。

「何?」

「最初の…学校の友達になってくれる…?」

 おずおずと訊くのが梶らしかった。僕はフッと笑って「いいよ」と答えた。

「はるかちゃんの事は忘れない。だけど私、生きていかなきゃいけないんだもんね」

「そうだよ」

 命のある限り───

 人は、生きる事を課せられている。

 なぜ、と言っても答えは出ない気がした。ただ、ひたすらに生きる。そこには幸も不幸もあって、生きる事は喜びだけではない。だけどそれをどう受け止めて生きるかは───人それぞれなんだ。

 死を選ぶ、はるかのような人もいるけれど、その痛みも糧として生きる梶のような人もいるんだ。

 もう昼休みも終わる。僕はトイレに行くと言って梶と廊下で別れた。個室に入って鍵を閉める。追い詰められたはるかの事を思うと胸が痛かった。どうか安らかに───そう願うしかなかった。

 はらりと落ちてきた紙には『ご苦労だった。屋上の地縛霊を昇天させたのは立派だった。これからも励め』と書いてあった。

 これからも。

 こんな辛いのかなあ?僕は紙を流して、目が熱くなるのを堪えた。

 ───きっと、これからがスタートなんだ。

 死神として───僕も、生きていかなきゃいけない。

 柳さんの言葉が少しわかった気がした。こんな形の出会いだったからこそ、互いに交わせた言葉があった。笑顔があった。

 そして今の僕のままでいい、自分の信じるままに、生きていこう。

 その側に仲間たちがいる。これも出会いの一つの形だった。

 死神の報酬が笑顔なら、なんて僕は運がいいのだろう。

 これからは───生きている人の、そして亡くなった人の魂の、笑顔のために頑張るよ……親父。

 僕の幸せはそこにあるのだと思った。教室に戻ろう。そしてみんなの笑顔を見よう。

 廊下に差す夏の終わりの日差しが眩しかった。まるで天界へ続く道のようだと僕は太陽を見て目を細めた。


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