知らない場所にいて大変混乱している件について
「ん…」
何故か目が覚めた、少年がいた場所は先が見えない草原だった。
家が燃え、死んだと思った少年は何故か草原で目が覚めたのである。
「…直射日光っ!!」
どこか光を遮れる場所はっ!と辺りを見渡すも、草しかない草原にそんな場所は無かった。
引きこもりになってからというもの、外に出る事なんてほぼ奇跡に近かった少年は太陽の光というものがとてつもなく苦手であった。
そのため、今この瞬間も起き上がるので精一杯である。
ゲームなどに使う筋力はあれども、今は天才だと言われていた運動神経も皆無に等しい。
この少年に今から100m走れと言っても走りきれるかどうか。
それくらいに少年の体力は落ちていた。
「ここ…何処だ…」
「いたぞっ!」
「あれがっ!?」
向こうの方から兵士のような、はたまた農民のような人々が向かってくる。
助けてくれようとしているのか。
それとも捕まってしまうのか。
いずれかは分からないが少年は逃げるという選択肢しか無かった。
少年は対人恐怖症であるからだ。
人というのがとてつもなく怖いのだ。
(無理無理無理無理っ、何であんなに人ばっかりいるんだよぉっ!!)
「あ、こら待てっ!」
その人達は少年を追う。
当然のように体力も早さもない少年はすぐに捕まってしまった。
1人が少年の腕を掴んだ。
「っ!触るなっ!!」
パシンッ
少年は腕を掴まれた衝撃で、掴んだ相手を叩いた。
「なっ、こいつっ…!」
他の奴らは少年がその人を叩いた事によって動揺し、怒ったようだった。
が、そんなことは少年には知る由もなく…
「っ。」
(逃げなきゃ…!)
それしか考えられず、また闇雲に走り出そうとした。
しかし、少年の体力も限界なようで。
「っはっ…!」
少年はパタリと倒れ込んでしまった。
「おい、大丈夫か!?おいっ!!」
そんな声が聞こえたような気がしつつも、
少年は目を閉じた。