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殺人世界  作者: 一ノ瀬樹一
紫闇の魔人 編
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炎を纏う武器

 さて、この絶望的な状況をどうやって打破しようか。

 僕を取り巻く状況は圧倒的に不利であるが、心の焦りは消えていた。

 あんな過去のことを思い出したからだろうか、あの時と同じだと心に言い聞かせて冷静さを保っていた。

 絶望的な状況には慣れっこだ!!

 そう心に言い聞かせていた。


 それにしても、ピナが言っていた武器が見当たらない。

 『炎を纏う武器』と言ういうくらいだから、マグマにも対する耐性を持っていそうだが、どこにも見当たらない。

 やはりガセネタを掴まされたようで、僕が死んだらピナを恨んでやろうと思った。

 

 「ウオオォ、オイツイタゾ!」

 

 最悪なことは重なり、サーベイトが追い付いてしまった。

 何の対応策もない僕には、逃げることしか出来ないが、またしても出口を塞がれてしまった。

 山を下りるにはサーベイトの後ろにある道しかなく、あとは断崖絶壁となっている。

 ここまでくると、もしかしてこいつは高い知性を持っているのかと思ったが、

 怒りのあまり地面を叩き、またしても腕が抜けなくなっているところを見ると考え過ぎだと知らされた。

 「コロス!オマエコロス!!」

 腕が抜けた途端に、走り出したサーベイト。

 もちろん僕がとった行動は逃げること意外になかった。

 当然のように追いかけるサーベイトと再び鬼ごっこをする形になったが、今回はこの作戦で正解だった。

 この頂上は火山口を中心に円形になっている。

 つまりこのまま走り続ければ一周して、山を下れる道に辿り着く。

 単純な作戦だが、単純な作戦程防ぎようがない。

 僕はこのピンチを逃れられたはずだった。

 しかしサーベイトの意外な行動によって阻止されてしまった。


 …み、道がない!?

 

 一周して僕の辿り着いた先は、崩れ落ち崖と変わり果てた出入り口の道だった。

 計算なのか本能的にだったのか、サーベイトが地面を叩いたせいで道がなくなってしまった。

 これは明らかなイージーミス、作戦は失敗に終わった。

 ふり返ると、サーベイトがすぐそこまで迫っていた。

 僕は覚悟を決めて刀を抜き、構えた。

 こうなれば、当たって砕けるしかない。

 玉砕覚悟で立ち向かおうとしたその時、声が聞こえた。


 ……わ、私を助けて下さい……。


 ……私はここにいます……。


 耳に聞こえるのとは少し違い、頭の中に流れ込んでくるような声だった。


 「どこだ、どこにいるんだ!」

 本来は、僕の方が助けて欲しい状況だったが、なぜか僕はその声を無視することが出来なかった。

 かつて、いじめられていた時の心の叫びにもにた声に、頭ではなく心が動かされた。

 

 「どこだ!?返事をしてくれ!!」

 「………うぁっぁぁぁぁ!!!」


 謎の声に気を取られていて、サーベイトが迫ってきていたことを忘れていた。

 アメフト選手の五倍はありそうなタックルによって、後方へと吹っ飛ばされた。

 幸い、反射的に防御の体制を取っていた為、重症を意識を失うことはなかったが、

 代わりに刀が折れてしまった。

 そして吹っ飛ばされた先は、サーベイトが作った崖だった。

 

 うわ!!


 何とか壁の突起物に捕まり落ちることはなかったが、依然としてピンチだった。

 崖の上ではサーベイトがこちらを睨んでいる。


 ……助けて……。


 謎の声が再び僕の頭の中で囁いた。

 はっきり言って、僕の方が助けて欲しいくらいだ。

 しかし、謎の声は黙るどころか次第に大きくなっていった。

 頭が割れそうなくらいに大きくなる声に、僕は意を決して答えた。


 「僕が助けてやる!だからどこにいるのか教えてくれ!!!」


 ……私はここにいます。あなたが捕まっているのが私です……。


 え!?どういうことだ??

 よく見ると、僕が捕まっている壁ぼ突起物は人の肩のように見えた。

 この声の主はここに埋っているのだと言う。

 驚きはしたが、ここからどう助ければいいのだ。

 僕も捕まっているのが精一杯で、宙に浮いた状態だ。

 とても壁を掘って助けることは出来ない。

 すると、僕の頭の中を読み取ったのか、謎の声は解決策を示した。


 ……私と契約してください…。

 そうすれば、あなたを助けることも出来ます……。


 契約?一体どう契約をすればいいんだ。


 ……あなたの名前を私に教えてください……。

 それで契約は完了です……。


 その時だった、上の方からパラパラと土が落ちてきた。

 見上げると、巨大な岩を持ち上げてサーベイトが狙いを定めていた。

 どうやら、僕に向かって落とすらしく、状況は緊迫していた。

 「解かった、契約する。僕の名前は、阿千ヶ崎空だ!!!!!」


 …………。


 ……了解しました、マスター……。


 一瞬、辺りが強い光に照らされた。

 夜だち言うのに、まるで昼間のように感じる程に強い光だった。

 次の瞬間。僕の体は抱えられ空に向けて飛び上がった。

 おそらくは百メートル程の上空にいるのだろう。

 何が起きたのか理解できない僕に、抱えている女性が言った。


 「初めましてマスター。私があなたの盾にも剣にもなりましょう」


 その前に……着地の仕方を話して欲しかった。

 僕は、高所恐怖症なのだ。

いよいよ、ゾロリア火山編も終盤に差し掛かりました。

このまま突っ走ります!!

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