天国への片道切符
バスや電車の中では、いろいろな話が聞こえてくる。
先日、地元のローカルバスでのおばさんの話。
「それでさ、○○さんがさ、『山田先生に天国への片道切符を下さいって手紙を書いたから渡してくれ』って言うんだよ。アハハハハハ」
どうやら、この話しをしているおばさんは介護施設に勤務している様だ。
ここは超ド田舎だから、個人情報保護とは言ってもご近所さんから回りまわって知られてしまうのが現状なのだが、入居者の情報をバスの中で話してしまうのはまずい。
このおばさんは守秘義務と言う言葉を知らないのだろうか。職務意識レベルが非常に低い。場合に由っては違法だ。
入居者が天国へ行きたいと手紙を書いたと言う事は、「死にたい」と言っているのだ。
「死にたい」と言っていることがそんなに面白いのか。介護の現場では、亡くなる方が多いから、命が消えゆくことへの重みが無くなってしまったのだろうか?
おばさんの話しはまだ続いた。
「○○さん、3回も天国への片道切符を下さいって先生に手紙を書いたんだって。アハハハハ」
このおばさんにとって、天国への切符の話しはかなりツボに入ったらしく、何度も笑いながら繰り返し話していた。
3回も死にたいと書いた手紙の重み、苦しみ、辛さが、おばさんにはわからないのだ。
本当に○○さんが死んでも「あら死んじゃったのね。アハハハハ」と笑い飛ばすのだろうか。
以前、親が病気になり、仕事をしながら家族だけで看病をして、大変な思いをしていた友達に「なんで介護士の手を借りないの?」と尋ねると「だって信用できないから」と答えた理由がやっとわかった。
介護の職場の現状はこんなものか?
介護の仕事は重労働だ。精神的にもキツイだろう。奉仕の精神がないとできないと思う。
すべての介護に携わる方々が、このおばさんの様ではないと思うが、モラルの低さにうんざりした。
もし、あなたの家族が介護施設に入居することになったら、このおばさんの様な介護従事者の世話になりたいだろうか?