お中元マナー
お中元は、日頃のお世話になっている方へ感謝の気持ちを表す古き良き日本の風習である。何を送ったら喜んで頂けるのか選ぶ事も楽しい。
日頃の感謝の気持ちを込めて…なのだが、今回はちょっと変わったお中元の話。
お世話になっている先生に、生徒たちみんなでお中元を送ろうと言う事になった。
先生は何がお好みなのかな?何を送ったら喜んで貰えるかなと話しが盛り上がった。
しかし、長年先生とお付き合いがある生徒が
「先生に贈り物をするときには注意がある」と話し始めた。
・生モノはNG。
・お花や観葉植物もNG。
・賞味期限が短いものはNG。
・コーヒーはお好みではない。
さらに「沢山の生徒から頂くので、先生のご家庭では使い切れない、食べきれない事が多いから小分けにできるものを選ぶこと」だと言った。
小分けにして、近くの親戚に配るらしいのだ。
なんだか注文が多いな…そもそも、頂く側から注文があるってどうなのかな…。
さらにこの生徒は、「みんなでまとまって、割り勘で送るのは絶対にNGだから」と言った。
以前にお金を出し合い一つの物を送ったら
「お中元を割り勘で持ってくるなんて無礼だ!!」と突っ返されたそうだ。
突っ返された?!
確かに、お中元の品を割り勘で買ってお渡しするとは、変な気はするけれど、突っ返すのは、ちょっと酷くないかな。嫌味に注意するくらいで良いではないか…。
そんな話しを聞いたら「なんだか、面倒になってきちゃったね。イッソノコトなしにしちゃおうか」と言う意見が出た。
「そうだそうだ。それがいい。お中元はなし、気持ちだけお渡しすることにしよう」と話しがまとまった。
長年先生と付き合いがある生徒が、少し浮かない顔をしているのがちょっと気になった。
そして後日、先生にお会いしたら「久しぶりに都会に買い物に行った」と嬉しそうに話していた。
生徒の一人が何気なく「何を買いに行ったのですか?」と聞いたら
「皆さんのお中元のお返しよ♪そろそろそんな時期なのよね~」とご機嫌で答えた。
生徒からのお中元期待しているのだ…。
お中元を貰う前にお返しを用意していると言ってしまう事に非常に驚いた。
なんでも、そのお返しの品は人気商品で、お取り寄せになったらしい。
「沢山生徒がいるから注文数が多くて大変だ」とまた嬉しそうに言った。
やっぱりお中元の無視はできない。
思わず、お中元はなしと話がまとまっていた生徒たち一同は困った顔で見つめ合ってしまった。
そして皆、NG商品にひっかからない様な無難な品を用意して、お渡しした。
お返しに頂いた品は、不思議なルームウェアだった。
先生は都会でお取り寄せしたとおっしゃっていたが、わざわざ都会で買ったとは思えぬ品だった。ヒート○○○で有名な店のルームウェアが高級品に見える程だ。
明らかにデザインを失敗したのではないかと思われるTシャツと、カーゴパンツの丈が超短いもの…提灯ブルマと言うのだろうか…。
わざわざお取り寄せして頂いたそうだが、自分だったら絶対選ばないだろう。絶対に着たくない。よくこの様な商品を見つけ出したものだと別な意味で驚いた。
だが、お中元や贈り物は感謝の気持ちですものね…。愚痴らずにありがたく頂かなくては…。
使い道に困っていたら、長年の生徒が「夏の終わりに、毎年先生主催のパーティーがあるからそのときお揃いで着るのよ」と言った。
お中元のルームウェアはお返しは毎年の事だったのか。ちゃんと使い道は決まっているのね。長い付き合いの生徒は、このおかしなルームウエアを何セットも持っているのだろう。
夏のパーティーを待たずに、この先生の元を離れた生徒が続出した。もれなく私も。
今となっては笑い話である。
先生の元を去った生徒たちは「あの先生は、贈り物を選ぶマナーを教えてくれたありがたい人だったのだろう」と言った。
あの強制的に持っていったお中元のお陰で、贈り物を選ぶときには、相手が喜ぶ物や、いくつあっても邪魔にならない物、日常ではちょっと贅沢かなと思うワンランク上の生活必需品を選ぶ様になった。
そして、相手に催促することも失礼だと思い知らされた。
先生とその後のお付き合いはないが、都会まで大量に不思議なルームウェアを買いに行ってしまうバイタリティーがあるから、お元気でご活躍しているに違いない。




