社会人編・第8話 「メディア露出 — 世間の注目を浴びる」
貧しい子供たちへの支援活動を始めてから、しゅんの会社「HANA」は単なるアパレルブランドの枠を越え、人々の心を動かす存在になっていた。
支援した村の子供たちの笑顔、そして社会貢献活動を続けながらも黒字を維持する経営手腕に、周囲の関心が集まっていた。
ある日、広報担当の千夏が慌ただしくしゅんの部屋に駆け込んできた。
「社長! 全国ネットの番組から取材依頼がきました!」
テレビ取材の打診
それは、誰もが知る情報番組だった。
“これからの日本をつくる人々”という特集の中で、社会貢献と経営を両立している若き経営者として取り上げたい、という内容だった。
しゅんは少し戸惑った。
(俺がテレビに出るのか……?)
選択肢が浮かぶ。
【〇:取材を受ける】
【×:辞退する】
しゅんは一息ついて、【〇】を選んだ。
(ここまできたんだ。逃げる理由はない)
撮影の日
当日は、スタッフがオフィスにやってきて、ドキュメンタリー風の撮影が始まった。
「最初はどんな思いで起業されたんですか?」
カメラの向こうでレポーターが微笑む。
しゅんは答えた。
「母に楽をさせたくて……それがきっかけです。でも、ここまで来る中で、支えてくれる社員やお客様、そして多くの子供たちの笑顔に出会い、自分の夢はどんどん大きくなっていきました」
インタビューの最中、社員たちがにこやかに作業している姿や、完成した商品が並ぶショールームも撮影された。
スタッフの一人がぽつりと言った。
「みなさん、いい顔してますね。こんな会社で働けるのは幸せだろうな」
その言葉に、しゅんの胸がじんわりと熱くなった。
放送当日
番組が放送される夜、しゅんは母と一緒にリビングでテレビの前に座っていた。
番組では、母子家庭で育ち、苦労の末に起業したこと、社員と力を合わせて困難を乗り越えたこと、そして海外の子供たちを支援する活動まで丁寧に紹介された。
画面の中のしゅんが、まっすぐカメラを見て言った。
「これからも、挑戦し続けます」
母はしゅんの肩に手を置き、涙ぐんだ目で呟いた。
「立派になったね……」
しゅんは母の手に自分の手を重ね、そっと言った。
「まだまだ、これからだよ」
世間の反応
番組放送の翌日から、オフィスには問い合わせが殺到した。
「番組を見て感動しました!」
「ぜひ御社の商品を取り扱いたいです!」
「支援活動に参加したいのですが……」
取引先からも「ぜひ一緒に新しいプロジェクトをやりたい」と提案が相次いだ。
社員たちは電話やメール対応に追われながらも、笑顔を浮かべていた。
夜空の下で
その夜、オフィスの屋上で、しゅんは一人夜空を見上げた。
ノートを開くと、金色の文字が浮かんだ。
「メディア露出 — 世間の注目を浴びる」
新しいメッセージが現れる。
【注目されるのは、責任を負うということだ】
しゅんはペンを走らせる。
「責任を恐れず、胸を張って進む」
ふと視線を上げると、オフィスの窓から社員たちの笑顔が見えた。
(俺一人じゃ、ここまで来られなかった。これからも、みんなで進むんだ)
深く息を吸い、しゅんは胸を張った。




