社会人編・第7話 「社会貢献 — 貧しい子供たちを支援」
新規事業「HANA」は好調だった。
展示会での反響をきっかけに注文が相次ぎ、メディアでも取り上げられるようになった。
社員たちは生き生きと働き、オフィスには笑顔が戻っていた。
だが、しゅんの胸の奥には、まだ満たされない想いがあった。
(もっとできるはずだ。金を稼ぐだけじゃなく、何か……)
ふとしたきっかけ
そのきっかけは、あるテレビ番組だった。
深夜、家で一人、疲れを癒やしながらなんとなくテレビをつけると、貧困地域のドキュメンタリーが流れていた。
東南アジアの小さな村で、ボロボロの服を着て裸足で遊ぶ子供たち。
学校にも通えず、食事も満足にとれない。
レポーターが尋ねると、少年は無邪気にこう答えた。
「大人になったら、お金持ちになって、お母さんにごはんをいっぱい食べさせたい」
胸が締め付けられた。
(昔の俺と同じじゃないか……)
選択肢が浮かぶ
その瞬間、頭の中に選択肢が現れる。
【〇:子供たちを支援する活動を始める】
【×:自分の事業に集中する】
迷いはなかった。【〇】を選ぶ。
(俺にできることがあるなら、やる)
社員への提案
翌日、社員たちを集めて言った。
「売上の一部を使って、貧困地域の子供たちを支援したい。まずは東南アジアから、学校を建てる資金を出そうと思う」
最初はみな、驚いた顔をしていた。
だが、次第に笑顔が広がった。
「素敵です!」
「私も何かできることがあれば協力します!」
そんな声が次々にあがった。
現地へ
数週間後、しゅんは社員数名とともに現地を訪れた。
テレビで見たのと同じ村に降り立つと、子供たちが笑顔で迎えてくれた。
建設予定地に案内される途中、一人の少女がしゅんの手を握り、無垢な瞳で見上げた。
「おじさん、ありがとう」
しゅんの胸に、何か熱いものが込み上げてきた。
開校式
資金提供から数か月後、小さな学校が完成した。
開校式の日、しゅんは壇上に立ち、子供たちと村人に向かって話した。
「ここにいる皆さんの夢が、ここから始まります。ほんの少しの力かもしれませんが、これからも応援させてください」
会場から大きな拍手が湧いた。
少女が花束を抱えて駆け寄り、しゅんに渡した。
「ありがとう。おじさんが建ててくれた学校、大切にするね」
しゅんは少女の頭を撫で、笑顔で答えた。
「約束だぞ」
夜空の下で
帰国後、オフィスの屋上で夜空を見上げ、しゅんはノートを開いた。
金色の文字が浮かぶ。
「社会貢献 — 貧しい子供たちを支援」
そして新しいメッセージが現れる。
【与えることは、未来を育てる】
しゅんは書き込む。
「与えることで、俺も育てられた」
風が頬をなで、遠い異国の村の子供たちの笑顔が胸に浮かんだ。
(まだまだやるべきことがある。もっと多くの人を笑顔にするんだ)
そう強く誓い、しゅんは星空を見上げた。




