大学生編・第6話 「スタートアップ立ち上げ — 仲間を集める」
美香との別れから数週間。
胸にぽっかりと穴が空いたような感覚を抱えながらも、しゅんは止まらなかった。
むしろ、心の中の炎はますます強くなっていた。
(もう迷わない。必ず、俺のビジネスを形にする)
彼は大学の図書館にこもり、ビジネス書や事例集を読み漁った。
さらに、インターン先で学んだ実務知識をもとに、事業計画書を書き上げた。
テーマは「学生向けのマイクロ起業支援プラットフォーム」。
今の時代、スマホ一つで何でも始められる。だけど、知識やノウハウがなくて一歩を踏み出せない学生が多い。
そこに、しゅん自身が学んだ知恵とネットワークを活かして、支援する仕組みを作る。
——問題は、ひとりではできないということだった。
頭の中に選択肢が浮かぶ。
【〇:仲間を集め、チームで挑戦する】
【×:ひとりでできる範囲でやる】
もちろん、しゅんは迷わず【〇】を選ぶ。
まず声をかけたのは、ビジネス研究会で一番信頼している先輩、岸本だった。
彼は、数字に強い優秀な人間で、冷静かつ実行力がある。
「面白そうだな。でも、本気でやるなら、それなりにリスクも背負うぞ」
「覚悟はできてます」
岸本はうなずき、手を差し出した。
「なら、俺も乗る」
次に探したのは、システムに強いメンバーだ。
このサービスの肝は、オンライン上で知識を提供する仕組みと、コミュニティ機能を持たせること。
ゼミの友人から紹介された、理工学部のプログラマー志望・浅野を訪ねる。
研究室に入ると、部屋の奥でキーボードを叩く浅野がいた。
「やりたいことは分かった。でも、タダじゃやらないぞ」
「報酬はきちんと払う。出資の一部は俺が用意するし、利益が出たら配当も出す」
浅野は興味深そうにしゅんを見つめ、やがてクスリと笑った。
「言うね。面白そうだ、やるよ」
さらに、マーケティング担当として女性の後輩・千夏をチームに迎えた。
彼女はSNS運用の実績があり、文化祭の広報で爆発的な集客を成し遂げたことがある。
「私は別にビジネスガチ勢じゃないけど、人の役に立つならいいかな」
そう言って、快く引き受けてくれた。
こうして、しゅんを含めた4人のチームが結成された。
打ち合わせは夜のファミレスや大学の空き教室で行い、ホワイトボードにアイデアを次々と書き出した。
岸本が数字を詰め、浅野がシステムの設計をし、千夏がターゲット層に響く言葉を考え、しゅんが全体を統括する。
時には意見がぶつかり、徹夜になることもあった。
だが、チームの中に流れる空気は、どこか心地よかった。
ある夜、しゅんは寮の部屋でノートを開く。
金色の文字が浮かぶ。
「スタートアップ立ち上げ — 仲間を集める」
そして、その下に新しい言葉が現れる。
【ひとりでは叶わない夢も、仲間となら形になる】
彼はペンを取り、自分の言葉を書き加えた。
「チームは弱さを補い、強さを倍にする」
数日後、彼らはプロジェクト名を決め、正式に動き出した。
しゅんはチームメンバーに向かって言った。
「みんなで必ず成功させよう。俺たちなら、できる」
その言葉に、3人は力強く頷いた。
そして、彼らの挑戦が、ついに幕を開けたのだった。




