大学生編・第2話 「サークル選び — 正解を選び人脈を作る」
春の陽気の中、京南大学のキャンパスは活気にあふれていた。
入学式が終わると、今度は新入生歓迎のサークル勧誘が本格化する。
正門前から中央広場まで、ずらりと並んだテントやのぼり旗。
演奏する軽音サークルの音が響き、呼び込みの声があちこちから飛んでくる。
「新入生! テニス楽しいよ!」
「うちの合唱団は初心者大歓迎!」
「ビジネス研究会、企業とコネ作れるぞ!」
初めて見る光景に、少し圧倒されながらもしゅんは笑みを浮かべていた。
(ここでの選択も、重要だ)
頭の中に、選択肢が現れる。
【〇:将来に役立つサークルを選ぶ】
【×:楽しいだけのサークルを選ぶ】
当然、しゅんは迷わず【〇】を選ぶ。
とはいえ、ここからが難しい。どのサークルが「将来に役立つ」のか。
見た目や雰囲気だけで判断しては、痛い目を見ることは前の人生で痛感している。
翌日、しゅんは仲良くなった学部の友人たちと一緒に、いくつかのサークルを見て回った。
テニス、ダンス、ボート。どこも楽しそうだが、飲み会が派手だったり、遊びの色が強かったりと、「真面目に活動している」とは言い難い。
「しゅんはどこにする?」
友人が尋ねると、しゅんは少し考え込む。
「まだ決めてない。もう少し見て回るよ」
彼は単独行動に切り替えた。
キャンパスの奥の方に、小さなテントがあった。
そこには、「ビジネス研究会」と書かれた地味な横断幕が掲げられている。
呼び込みの声もなく、数人の先輩が談笑しているだけ。
しゅんが近づくと、一人の先輩が気づいて声をかけてきた。
「お、見学? 興味ある?」
「はい。どんな活動をしているんですか?」
「学生起業の支援とか、企業訪問、投資の勉強会もやってる。最近はコンテストで賞金も取ったし」
先輩の言葉を聞くうちに、しゅんの中で確信が芽生えた。
(ここだ。このサークルなら、将来に繋がる)
頭の中に再び選択肢が浮かぶ。
【〇:このサークルに入る】
【×:他のサークルを探す】
迷いなく【〇】を選ぶと、胸の奥が温かくなる感覚がした。
その日の夜、入会の申し込みを済ませたしゅんは、先輩たちに誘われて歓迎会に参加した。
居酒屋の個室で、20人ほどのメンバーが集まり、和気あいあいとした雰囲気で乾杯する。
「しゅん君、将来はどんなことがしたいの?」
先輩の一人が尋ねる。
「自分で会社を作って、成功したいです」
即答したしゅんに、場が一瞬静かになる。
だが、次の瞬間——
「いいね! その意気だ!」
「俺も最初はそうだったよ。志は高く!」
先輩たちが笑顔で励ましてくれた。
しゅんは心の中で拳を握った。
(ここに入ってよかった)
翌日から、ビジネス研究会の活動が始まった。
先輩から本を借り、ケーススタディを学び、実際の企業訪問にも同行させてもらった。
しゅんはノートを開き、びっしりとメモを書き込みながら質問を重ねた。
「やっぱり、しゅんは熱心だな」
先輩に褒められることも増え、後輩として可愛がられるようになった。
しゅんの視野はどんどん広がっていった。
同じサークルの仲間の中には、ベンチャー企業のインターンをしている者もいれば、すでにネットショップを運営している者もいた。
彼らの話を聞きながら、しゅんはますます心を燃やした。
(俺も負けていられない)
その夜、寮の部屋でノートを開いた。
金色の文字が浮かび上がる。
「サークル選び — 正解を選び人脈を作る」
そして次の一行が追加される。
【行動した先に、正しい道はある】
しゅんは深呼吸し、筆で新たなページにこう書き込んだ。
「人生を変える選択は、いつも小さな決断の中にある」
その言葉の通り、このサークルで得た人脈と学びが、後の人生で彼の大きな武器になるのだった。




