高校生編・第10話 「卒業の日に」
春の匂いが漂う校庭に、満開の桜が咲き誇っていた。
今日は、しゅんたちの卒業式の日だ。
(ついに、この日が来たか……)
ネクタイを締め直し、少し緊張した面持ちで体育館に入る。
壇上から見る風景は、これまでの日々が一気に押し寄せてくるようだった。
文化祭、ネット販売、リーダーとしての苦労、仲間との笑顔。
それらが頭の中を駆け巡る。
卒業証書を受け取り、席に戻る途中、青い選択肢が浮かんだ。
【〇:ここで感謝の言葉を伝える】
【×:黙って受け取る】
(……ここで伝えなきゃ、きっと後悔する)
しゅんは【〇】を選び、壇上のマイクの前に立った。
「すみません。少しだけ、話させてください」
会場がどよめく。
しゅんは深呼吸して言葉を絞り出した。
「この学校で、挑戦する勇気をもらいました。先生方、仲間たち、そして両親に……本当に感謝しています。ありがとうございました!」
拍手が体育館いっぱいに響いた。
◇ ◇ ◇
式が終わり、教室で最後のホームルーム。
担任が一人ずつに言葉をかける中、しゅんの番になると、静かに言った。
「お前は、どんな状況でも逃げなかったな。胸を張っていい。……これからも、自分の信じた道を行け」
「はい!」
◇ ◇ ◇
教室を出ると、起業研究会のメンバーが待っていた。
高橋が笑顔で手を振る。
「リーダー、お疲れ!」
川島も涙ぐみながら言う。
「一緒にいられて良かったよ」
「俺も。……お前らがいてくれたから、頑張れた」
みんなで肩を組み、写真を撮る。
その後、部室で最後の時間を過ごした。
机の上に置かれたノートを開く。
「卒業の日に。ここで得たものは、俺の一生の宝物だ。」
ページに金色の文字が浮かぶ。
【人生の第一章を終え、新たな旅立ちへ】
桜の花びらが舞う中、校門をくぐりながら心に誓った。
(これからも、選択肢の先にある“正解”を、自分の手で掴む)
しゅんは真っ直ぐ前を見て、歩き出した。




